純水

純水：その性質、製造方法、そして用途

純水とは、不純物が極めて少ない、高純度の水のことです。私たちが日常的に使用する水道水には、様々な不純物が含まれています。例えば、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル、殺菌のために添加される残留塩素、微細な砂や泥などの微粒子、微生物の死骸などの有機物、酸素や窒素などの溶解ガスなどです。これらの不純物は、用途によっては大きな問題となるため、様々な産業において純水は必要不可欠な存在となっています。

純水の性質と特徴

水分子は、酸素原子を中心として2つの水素原子が結合した極性分子です。この極性のため、水は多くの物質を溶解する優れた溶媒としての性質を持ちます。しかし、この性質は純水を得ようとする際には障害となります。なぜなら、水に溶解しやすい物質は、容易に不純物として混入してしまうからです。

純水は、これらの不純物を可能な限り除去した水であり、その純度は比抵抗（または導電率）や蒸発残留物によって評価されます。一般的に、比抵抗が1～10MΩ・cm（導電率が1.0～0.1μS/cm）程度のものが純水と呼ばれ、さらに高純度のものは超純水と呼ばれます。

純水の製造方法

純水を得るための方法は、古くから様々なものが研究されてきました。伝統的な方法としては、蒸留法があります。これは水を沸騰させて蒸気を冷却し、凝縮させることで不純物を除去する方法です。しかし、この方法はエネルギーコストが高く、大量の純水を製造するには適していません。

現在では、イオン交換樹脂、逆浸透膜、電気再生式イオン交換装置（EDI）などの技術が発展し、より効率的で安価な純水製造が可能となっています。これらの技術は、それぞれ異なる原理に基づいて不純物を除去します。

イオン交換樹脂: イオン交換樹脂は、水中のイオンを吸着し、代わりに他のイオンを放出することで、イオンを除去します。
逆浸透膜: 逆浸透膜は、非常に小さな孔を持つ膜で、水分子は通過できるものの、イオンや微粒子は通過できないため、これらを除去します。
EDI: EDIは、イオン交換膜とイオン交換樹脂を用いて、電気的にイオンを除去します。

多くの場合、これらの技術を複数組み合わせて使用することで、より高純度の純水が製造されます。例えば、フィルターで微粒子を除去した後、活性炭で有機物を除去し、イオン交換樹脂や逆浸透膜でイオンを除去するといった工程が一般的です。

純水の用途

純水は、その高純度という性質から、様々な分野で利用されています。以下にいくつかの例を示します。

化学工業: 洗浄、反応溶媒、試薬の調製など
半導体製造: 洗浄、シリコンウェハーの製造工程など。特に超純水が用いられる。
食品・飲料製造: 洗浄、製造工程の水など。品質管理に重要。
医[[薬品]]製造: 洗浄、医[[薬品]]の製造工程など。高い純度が求められる。
ボイラー・加湿器: 水垢の発生防止
鉛蓄電池: 電解液、電解液の補給など
コンタクトレンズ洗浄: 塩素などの不純物除去
* 航空機事故調査: ブラックボックスの洗浄・保護

このように、純水は私たちの生活や産業に欠かせない存在であり、その用途はますます広がり続けています。今後も、より高純度で効率的な純水製造技術の開発が期待されます。

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