紫紅

紫紅（しこう、生没年不詳）は、江戸時代に活躍した浮世絵師です。彼女は、著名な浮世絵師である歌川広重の門下であり、広重の門下で唯一の女性絵師であったことで知られています。

来歴

紫紅の本名は加藤八百といい、紫紅という号を用いていました。彼女がいつ生まれ、いつ亡くなったのかは正確にはわかっていません。しかし、いくつかの記録からその足跡を辿ることができます。

安政6年（1859年）に、師である歌川広重の一周忌が執り行われた際、安藤家（広重の家）に届けられた品物を記した「安藤家到来物帳」に、紫紅の名前が記載されています。このことから、この時期には紫紅が存命であり、広重の門下として活動していたことがわかります。

また、明治15年（1882年）に秋葉神社に建立された初代歌川広重の顕彰碑の裏面にも、紫紅の名前が刻まれています。これは、広重の没後も彼女がその功績を称える活動に関わっていたことを示唆しています。このことから、彼女が明治時代に入ってからも活動していた、あるいは少なくとも、その名前が人々に記憶されていたと考えられます。

紫紅の没年については明確な記録はありませんが、明治42年（1909年）またはその翌年頃に亡くなったという説があります。もしこれが事実であれば、彼女は明治時代まで活動していたことになります。しかし、詳しい没年やその後の活動については、現在のところ詳しい情報が不足しており、今後の研究が待たれるところです。

紫紅は、歌川広重という江戸浮世絵界の大御所の門下で、しかも女性という、当時としては珍しい立場にありました。彼女がどのような作品を残したのか、また、どのような活動をしていたのかについては、今後の更なる研究が期待されます。

参考文献

* 日本浮世絵協会編　『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）　大修館書店、1982年

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