結婚物語

概要

『結婚物語』は新井素子が手掛けたラブコメディ小説で、1985年から1987年にかけて角川書店の『野性時代』で連載されました。物語は陽子という女性作家と彼女の大学の同期である正彦との結婚にまつわる出来事を描いています。新井素子の初めてのSF以外の小説作品であり、彼女自身の結婚体験を基にした部分も多いものの、フィクションとして大きく脚色されています。読者の間で「これは実話なのか？」との疑問も生じたため、作者はあらかじめエッセイではなく、一つの物語として捉えるべきだと強調しています。

あらすじ

物語は陽子が大学時代の彼氏と別れ話をしていたところから始まります。しかし、別れたはずの正彦から結婚の話が出てきたことで、彼女は激怒します。ところが、その告白はプロポーズの言葉だったのです。誤解が解け、陽子は改めてプロポーズを受け入れるものの、結婚式に至るまでに多くのトラブルが発生します。

続編の『新婚物語』では、結婚式を終えた二人が最初の結婚記念日を迎えるまでの1年間の生活が描かれ、さらには『銀婚式物語』で25年後の銀婚式の日を迎える陽子の視点から、彼女のこれまでの生活を振り返る形で物語が進行します。

主要テーマと作品

新井素子は結婚生活に伴うさまざまな出来事をユーモアとリアリティを混ぜ合わせて描写しました。物語は恋愛感情だけでなく、生活の中での矛盾や葛藤をも描写することで、読者に共感を呼び起こします。続編や短編も含まれ、結婚や家庭生活、さらにはダイエットといったテーマに触れつつ、陽子と正彦の日常を描き続けました。

特に『ダイエット物語……ただし猫』では、陽子家族の猫たちの糖尿病予備軍であることが発覚し、ダイエットに挑む姿を描写。ここで新井は、家庭の中における愛と責任も同時に表現します。さらに、2022年から2023年まで連載された『定年物語』は、60歳を迎えた正彦の退職後の新たな生活にフォーカスし、高まる家庭内のダイナミクスを描いています。

登場人物

• - 原陽子：若手女性作家。自信家でありながら、思い込みが激しい一面を持つ。
• - 大島正彦：陽子の大学の同期生で、会社員として働く。少し太り気味の体型で親しみやすいキャラクター。
• - 原力：陽子の父親、出版社勤務。
• - 原光子：陽子の母親、仕事と家庭を両立させてきた強い女性。

このように、『結婚物語』中心とした一連の作品群は、新井素子による娯楽性と深い人間観察が詰まった作品として、多くの読者に愛されています。そしてこれらは後に日本テレビでドラマ化され、視聴者にも広く親しまれることになったのです。

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