総合型選抜

総合型選抜（旧AO入試）とは

総合型選抜（旧AO入試）は、大学が受験生の学力だけでなく、個性や適性、意欲などを総合的に評価して入学を許可する選抜制度です。従来の学力試験一辺倒の選抜方法では見出すことのできない、多様な才能を持つ学生を発掘することを目的としています。

総合型選抜の概要

1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが先駆けて導入したAO入試がルーツです。2021年4月には、名称が総合型選抜に変更されました。

選考方法は大きく分けて「対話重視型」と「書類・論文重視型」の2種類があります。

対話重視型: 大学との面談を重ねることで、受験生の個性や考え方を深く理解しようとする選抜方法です。
書類・論文重視型: 小論文や志望理由書など、提出された書類を通して受験生の能力や適性を評価する選抜方法です。

これらの選抜方法はAO入試という名称以外にも、自己推薦入試や公募推薦入試など、大学や学部によって様々な名称で呼ばれています。

推薦入試と異なり、総合型選抜では学業成績の基準を設けない大学も多くあります。しかし近年では、学力試験や共通テストの成績を合否判断の基準とする大学も増えています。

総合型選抜の現状

総合型選抜による大学入学者数は増加傾向にあります。2000年度には大学入学者の1.4%でしたが、2012年度には8.5%に増加しました。2017年度には、国公立大学で3.1%、私立大学で10.7%が総合型選抜で入学しています。実施大学も増加しており、2017年度には全大学の73.8%で実施されています。

医学部や歯学部など一部の学部では、大学入学共通テストや大学独自の個別試験を課す場合があります。また、数学オリンピックや科学コンテストなどで優秀な成績を収めた受験生に対し、特別な入学枠を設けている大学もあります。

総合型選抜の課題

総合型選抜は、推薦入試よりも早く合格が決まるケースがあるため、合格後の学習意欲の低下が懸念されています。そのため、入学前教育を実施する大学が増えています。

また、総合型選抜で入学した学生の学力低下を懸念する声もあり、学力を担保するためのテスト導入も検討されています。しかし、総合型選抜は学力だけでは測れない能力を評価する制度であるため、学力だけで評価することには疑問の声も上がっています。

総合型選抜への評価

総合型選抜の導入大学からは、その効果を評価する声が上がっています。

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでは、総合型選抜で入学した学生はリーダーシップを発揮し、大学への帰属意識も高いと評価しています。

早稲田大学政治経済学部では、多様な学生の入学を可能にし、教育環境の活性化に貢献していると評価しています。また、総合型選抜で入学した学生の入学後の成績も良好であるとしています。

東北大学でも、総合型選抜で入学した学生のGPAが一般入試で入学した学生よりも高く、学習意欲や文章表現力、プレゼンテーション能力が高いという結果が出ています。

総合型選抜は、大学入試の多様化を促進し、従来の学力試験では評価できなかった才能を持つ学生を発掘する上で、重要な役割を果たしています。

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