花嫁の父

『花嫁の父』（Father of the Bride）は、1950年に公開されたアメリカのコメディ映画です。ヴィンセント・ミネリが監督を務め、スペンサー・トレイシー、ジョーン・ベネット、エリザベス・テイラーなどが出演しています。エドワード・ストリーターの同名小説を原作とし、娘の結婚式の準備に奮闘する父親の姿をユーモラスに描いています。

あらすじ

弁護士のスタンリー・バンクスは、娘ケイの結婚を知り、喜びと同時に複雑な感情を抱きます。相手はバックリーという好青年ですが、スタンリーは娘を嫁に出すことへの寂しさや、結婚式の準備にかかる莫大な費用に頭を悩ませます。婚約披露宴、両家の顔合わせ、そして結婚式の準備が進むにつれて、スタンリーは様々な騒動に巻き込まれます。彼は、結婚式の準備を通して、娘の成長を実感し、父親としての役割を再認識していきます。

詳細

映画は、パーティの後、散らかった邸宅で、疲れ切ったスタンリーが娘の結婚式を振り返る場面から始まります。3ヶ月前、いつものように帰宅したスタンリーは、娘のケイが結婚を考えていることを知ります。相手はバックリーという青年で、スタンリーは彼の人柄や経済力を見極めようとします。やがて、バックリーはスタンリーの家族とも打ち解け、結婚式の準備が本格的に始まります。

しかし、結婚式の準備は順風満帆とはいきません。招待客のリスト作り、衣装選び、食事の準備など、様々な問題が山積します。特に、スタンリーは結婚式にかかる費用に驚愕し、頭を抱えます。彼は、花婿側が費用をほとんど負担しないことに気づき、不満を募らせます。

そんな中、ケイが突然結婚しないと言い出します。スタンリーは娘を慰め、結婚式を中止する方向で話を進めますが、やがて新婚旅行先を巡る喧嘩が原因だったことを知ります。バックリーが謝罪に来ると、2人は仲直りし、スタンリーは安堵します。

結婚式の前日、リハーサルが上手くいかず、スタンリーは不安な夜を過ごします。しかし、台所で同じように眠れないケイと出会い、励まします。そして、結婚式当日、スタンリーは美しい娘の姿に感動し、彼女が自分の下から去ってしまうことを悟ります。結婚式と披露宴は盛況のうちに終わり、ケイは新婚旅行へと出発します。

ケイからの電話で、両親への感謝と愛情を伝えられ、スタンリーは心の平穏を取り戻します。そして、妻と2人踊り始めるのでした。

キャスト

スタンリー・バンクス：スペンサー・トレイシー
エリー・バンクス：ジョーン・ベネット
ケイ・バンクス：エリザベス・テイラー
バックリー・ダンスタン：ドン・テイラー

作品の評価

『花嫁の父』は、公開当時から高い評価を受け、アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、脚色賞の3部門にノミネートされました。アメリカン・フィルム・インスティテュートが選んだアメリカ喜劇映画ベスト100では83位にランクインしています。また、1991年には『花嫁のパパ』としてリメイクされました。

この映画は、結婚という人生の転機を迎える家族の姿を温かく、そしてユーモラスに描いています。家族の愛、親子の絆、そして人生の喜びと悲しみが詰まった、不朽の名作として、今も多くの人々に愛されています。

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