花茂

花茂（か も）

花茂（生年不詳 - 1397年）は、元末から明初にかけて活躍した軍人です。彼の本貫は無為州巣県であり、その生涯は戦乱の時代とともにありました。

生涯

元末の混乱期、花茂は陳埜先に仕えていましたが、後に朱元璋に帰順しました。朱元璋の下で、花茂は卓越した軍事力を発揮し、各地の平定戦で目覚ましい功績を上げました。江東の平定や、強敵であった陳友諒の討伐にも参加し、その勇猛ぶりを示しました。

明朝が成立すると、花茂はさらにその才能を発揮します。洪武帝（朱元璋）の時代初期には、河南、山西、陝西の平定作戦に参加し、これらの地域を明朝の支配下に置くことに貢献しました。その功績が認められ、武昌衛副千戸に任命されました。1371年（洪武4年）には、夏の討伐に参加し、瞿塘関を攻略、重慶に入城しました。その後、戦場は広西に移り、左江、右江、そして田州を次々と攻略しました。

花茂の活躍はとどまることを知らず、神策衛指揮僉事に昇進し、広州左衛の監督を任されました。広州周辺では、陽春、清遠、英徳、翁源、博羅の諸山寨に拠る少数民族や、東莞、龍川の民衆による反乱が頻発していました。花茂はこれらの反乱を鎮圧し、その功績により指揮同知に昇進しました。さらに、電白、帰善で発生した反乱も平定し、都指揮同知に任命され、世襲指揮使となりました。

連州や広西、湖広に散在する瑤族の反乱軍を幾度も撃破し、その軍事的才能をいかんなく発揮しました。一方で、花茂は単に武力で制圧するだけでなく、民政にも力を注ぎました。東莞や筍岡などの県から逃亡し、海上の島に住み着いて海賊行為を繰り返していた人々に対し、帰順を促し、兵籍に編入することを上奏しました。さらに、山に隣接する沿岸部に広海、碣石、神電など24の衛所を設置することを請願しました。これにより、花茂は城を築き、池を浚渫して衛所の防備を固め、無戸籍の人々を軍に編入しました。また、山海の要衝には堡を築いて軍を駐屯させ、その状況を報告し許可を得ました。これらの功績により、花茂は都指揮使に昇進しました。

花茂は、1397年（洪武30年）に生涯を閉じました。彼の遺体は安徳門に葬られました。

子女

花茂には、二人の息子がいました。

花栄：長男であり、父の跡を継いで指揮使の職を継承しました。
花英：次男で、父譲りの剛毅果断な性格を持ち、軍功により広東都指揮使に昇進し、永楽年間にその名を知られました。

花茂の生涯は、戦乱の時代を生き抜いた武将の典型であり、その卓越した軍事的才能と民政への貢献は、明朝初期の安定に大きく寄与しました。特に沿岸部の警備体制の強化は、後世に大きな影響を与えました。

脚注

参考文献

* 『明史』巻134 列伝第22

もう一度検索