荘園整理令

荘園整理令について

荘園整理令（しょうえんせいりれい）とは、平安時代において施行された一連の法令を指します。この法令の目的は、違法に設立された荘園の整理を行い、国家の財政を再建することにありました。その中でも特に知られているものが、1069年（治暦5年、延久元年）に後三条天皇によって発布された延久の荘園整理令です。実際、この整備は150年以上にわたって繰り返されており、醍醐天皇の時代から各天皇の代替わりごとに行われてきました。

荘園整理令の背景

荘園制度の発展は、有力な貴族や寺社が広大な土地を保有し、多大な収入を得る一方で、国家の税金徴収が厳しい状況にあったため、国家財政に影響を及ぼしていました。特に、民が土地を寄進したことや、各種の勅旨田の設立は経済的な混乱を引き起こしていました。このため、政府は新たな荘園の設置を制限し、違法な土地の整理を進めることで公領を回復し、財政の立て直しを図る必要が生じたのです。

その第一歩が、延喜2年（902年）に醍醐天皇によって発布された延喜の荘園整理令です。この令は、即位以降に開設された勅旨田の廃止、地方民による寺社への田畑寄進の禁止、不法占拠の禁止など、多岐にわたる規定を設けました。さらに公験の保持を義務化し、国司が土地所有者からの正式な申請を受け付ける制度を導入しました。これによって国衙の土地管理が強化され、法的に問題のない荘園は守られる一方、違法なものは整理のターゲットとなりました。

後の荘園整理令

その後、1070年代にも長久・寛徳の荘園整理令が出されましたが、実務を担当する国司や貴族との関係から多くの例外が生まれ、実効性が薄れていきました。このため、後朱雀天皇時代の長久元年（1040年）には現任の国司の任期中に作られた荘園の停止を命じる取り組みが行われました。

また、寛徳2年（1045年）に発布された寛徳の荘園整理令では、より強力に以前の国司の任期中に立てられた荘園を全て停止し、背信的な行動をとった国司には罰則を科すことにより、違法荘園の整理を図ろうとしました。

最終的には、1069年に後三条天皇が発布した延久の荘園整理令が特に有名です。「愚管抄」などの資料によると、当時は摂関家が違法荘園を各地に出現させ、国務が滞る原因となっていました。この令は中央の役人による厳格な管理を実施し、その審査を行う機関として記録荘園券契所が新設されました。これにより、権門や寺社にまで及ぶ審査が行われることになり、従来の荘園整理令よりも厳格な規制が加わったのです。

また、審査対象となる荘園においては、成立時の書類を保持することで整理の対象外とされることが定められ、天皇の勅許に基づく正式な荘園は保護されることとなりました。これにより、摂関家を含む大寺社に対しても影響を及ぼし、特に平等院領のような荘園が守られる一方で、他の荘園が整理されるという状況が生まれました。

結論

荘園整理令は、平安時代の財政問題や土地の管理に深く関連しており、違法荘園の整理を通じて皇室の経済回復や貴族の経済力の制限に寄与しました。これは後の政治や経済の動向にも大きな影響を及ぼし、荘園制度の発展に繋がる重要な法令群として歴史に名を刻んでいます。

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