菊水楼

奈良の老舗料亭「菊水楼」：歴史と伝統、そして現代の融合

奈良市高畑町に佇む「菊水楼」は、明治24年（1891年）創業の老舗料亭です。130年以上の歴史を刻むその建物は、単なる飲食施設としてだけでなく、日本の伝統建築、そして奈良の歴史を肌で感じられる貴重な存在です。

創業から現在まで：時代を彩る菊水楼

菊水楼の起源は、大和郡山で旅籠屋「菊屋」を営んでいた岡本家へと遡ります。先見の明を持つ岡本善蔵は、奈良の中心地が大和郡山から奈良市へと移り変わることを予測。廃仏毀釈によって売りに出された興善院とその周辺の土地を買い取り、菊水楼建設に着手しました。郡山の「菊屋」を売却した資金を元手に、明治22年（1889年）から建築が始まり、3年後の明治24年（1891年）7月1日に、見事完成を迎えました。

円成寺から移築された表門（1615年建築）は、400年近い歴史を今に伝えています。本館も寺院の部材を用い、宮大工の技によって建てられました。完成当時、当主を務めていたのは岡本卯三郎氏です。

明治35年（1902年）には新館（現在の本館）を増築。当時としては斬新なビリヤード台が設置され、「菊水ホテル」と称した時期もあり、和洋折衷の客室も設けられました。

二代目の岡本暢良氏は、戦時中も高級軍人を顧客とするなど、経営手腕を発揮しました。歌人としても活躍するなど芸術を愛し、書画の収集にも熱心だったといいます。三代目岡本博行氏は、戦後の急激な欧米化と大衆化という時代の変化に対応すべく、最先端を取り入れた経営に挑みました。

2015年には、株式会社Plan・Do・Seeとの共同経営体制に移行し、新たな展開を見せています。

国の登録有形文化財に登録

明治24年建築の旧本館、明治34年建築の本館、そして1615年建築の表門と庭門は、平成12年（2000年）12月に国の登録有形文化財に登録されました。歴史的価値の高さが認められた証であり、後世に残すべき貴重な文化遺産として大切に守られています。

施設とアクセス

菊水楼には、本館にある「料亭」と、かつて皇室宿泊用として使われた客室を改装した「うな菊」という2つのレストランがあります。伝統的な日本料理を味わうことができる料亭と、うなぎ料理が堪能できるうな菊は、それぞれ異なる魅力を提供しています。

近鉄奈良駅から徒歩7分というアクセスも魅力の一つ。観光で奈良を訪れた際にも、気軽に立ち寄ることができる立地です。

まとめ

「菊水楼」は、歴史と伝統、そして現代が調和した、唯一無二の料亭です。古き良き建築と洗練されたおもてなし、そして絶品料理の数々は、訪れる人々に忘れられない体験を与えてくれるでしょう。奈良を訪れた際は、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

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