萬龍

萬龍の生涯と魅力

萬龍（まんりゅう、1894年7月 - 1973年12月）は、明治末期に「日本一の美人」と称され、一世を風靡した芸妓です。彼女の人生は波乱に満ちており、数多くの人々から愛される存在でした。この文章では、萬龍の生い立ちや芸妓としての活躍、そして波乱万丈な結婚生活について詳述します。

生い立ち

本名は田向静で、東京日本橋に生まれました。彼女の父は運送業を営んでいましたが、肺病により一家は困窮し、彼女がわずか7歳のときに父は亡くなりました。母親の手を離れ、東京赤坂の芸妓置屋「春本」に養女として迎えられ、ここから彼女の芸妓としての人生が始まります。

養母のもとで華やかな衣装を身にまとっていたものの、あまりに目立ついでたちから学校に通うことを拒まれたというエピソードも残っています。彼女はその後、お酌をする半玉として認められ、多くの客の注目を集めるようになりました。小柄でありながら独特の雰囲気を持ち、必ずしも美人とは言えないとの評価もありましたが、彼女には人を惹きつける美しさがありました。

美人芸妓としての人気

当時、萬龍は一流の芸妓として、まるで現代のタレントやアイドルのような存在感を持っていました。谷崎潤一郎は満龍について、「今の第一流のキネマ・スタアを超える存在」であると評しています。彼女は特に「日本百美人」という人気投票で9万票を獲得し、見事に1位に輝きました。さらに、絵葉書美人として多数のファンを獲得し、新聞やポスターでも広く取り上げられ、「酒は正宗、芸者は萬龍」という歌詞が流行するほど、彼女の名前が世に知れ渡りました。

2度の結婚

1910年、萬龍は箱根で大洪水に遭遇し、そこで東京帝国大学の学生・恒川陽一郎に救われる出来事がありました。彼との再会を機に恋に落ち、1913年に結婚することになります。このロマンスは当時、新聞にも大きく取り上げられ、注目を集めました。しかし、4年後の1916年、恒川は病気で若くして亡くなり、萬龍は未亡人となりました。

世間は彼女が再び芸妓としての生活を始めるのか注目しましたが、1917年に恒川の友人で建築家の岡田信一郎と再婚。彼女は新たな人生を歩むことになります。再婚後は岡田の病気に付き添いつつ、彼の設計事務所のサポートをし、家族としての役割を果たしました。

晩年

岡田は1932年に逝去し、再び彼女は未亡人となります。以後の人生はひっそりとしたもので、遠州流の茶道教授として多くの弟子に慕われつつ、静かな晩年を過ごしました。

結論

萬龍の人生は、数々の困難を乗り越え、愛され続けた芸妓としての軌跡に満ちています。彼女の美しさと独特の魅力は、今でも多くの人々の心に残り続けています。彼女の生涯は、当時の文化的背景を知る上でも貴重な資料となっています。

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