血栓

血栓と血栓症に関する詳しい解説

血栓（けっせん）は、血管内で発生する凝血の塊を指し、これに起因する病態は総じて血栓症と呼ばれます。通常、体内では出血に対して適切に凝固が調節され、出血時には迅速に血栓が形成されて止血が行われます。しかし、傷が治癒すると、血栓は正常に消失することが多いです。このプロセスは線溶作用と呼ばれます。ところが、血液成分や血流に何らかの変化が生じると、異常な血栓が形成され、これが健康に影響を及ぼすことだけでなく、血栓が肥厚して血管を塞いだり、剥がれて他の部位に移動して血管を閉塞することにも繋がります。後者の状態は血栓塞栓症と称されます。

血栓の種類

血栓にはいくつかの種類があります。まず、動脈に形成される析出・白色血栓があります。これは血小板が主に関与しており、動脈閉塞症やバージャー病などで多く見られます。一方、静脈において赤血球がフィブリン中に溜まることで赤っぽく見える凝固・赤色血栓は、血液凝固反応に関連しており、動脈原性塞栓などでよく見受けられます。また、白色血栓と赤色血栓が混ざり合った混合血栓は、高脂血症の患者に多く見られます。さらに、臨床的には血小板とフィブリンが関与し、火傷や感染症の際に小血管に目立つ硝子様血栓も存在します。

血栓形成の要因

血栓形成に関するメカニズムは、ウィルヒョウの三要素（Virchow's triad）として広く知られています。まず一つ目は血管内皮細胞の傷害です。喫煙、高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病といった生活習慣が影響し、血管内皮が傷つくことで血栓が形成されやすくなります。次に、血流の緩慢です。ギプス固定や長時間同じ姿勢だと血流が停滞し、動脈瘤や静脈瘤、心臓内で特定の血流が渦を巻くところでは血栓形成のリスクが高まります。最後に、血液の性状変化です。高脂血症や脱水時、また妊娠や老齢などで血液成分が変化し、これが血栓形成を助長します。

血栓が引き起こす疾患

血栓が生じることで、いくつかの疾患を引き起こすことがあります。代表的なのが血栓性静脈炎や静脈血栓塞栓症（この状態はエコノミークラス症候群とも知られています）。さらに、動脈血栓塞栓症や播種性血管内凝固症候群（DIC）も一般的です。これらは、血栓によって血流が妨げられ、様々な臓器や組織に必要な酸素や栄養が届かなくなります。

まとめ

血栓と血栓症に関する理解は、健康管理や病気の予防にとって重要です。正しい生活習慣を心がけ、体内の血液循環を健康に保つことが、血栓による合併症を避けるために不可欠です。

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