袴田巌

袴田巖の人生と袴田事件

袴田巖（はかまた いわお、生年1936年）は、日本の元プロボクサーとして知られる人物であるが、その名は袴田事件によって特に知られている。この事件では、彼は死刑が確定したが、後に再審が行われ、無罪の判決を受けた。

人物背景

浜名郡雄踏町（現在の浜松市中央区）で生まれた袴田は、若い頃からボクシングに情熱を注いできた。中学校卒業後にこの競技を始め、アマチュアとして戦績を残し、1957年には静岡国体に成年バンタム級で出場した。1959年にはプロの道を志し、上京して不二拳闘クラブに入門。多くの試合を経験し、全戦績29戦中16勝、最高位は全日本フェザー級6位に達するも、身体の不調から1961年に引退した。

袴田事件の経過

その後、袴田は静岡県清水市で「王こがね味噌橋本藤作商店」に勤務していたが、1966年に同社専務宅で起きた強盗放火殺人事件の容疑をかけられ、逮捕された。当初は無実を主張していたものの、警察の取調べにより自白を強いられ、その自白は一部が公判で採用されることがなかった。しかし1980年、最高裁判所で死刑が確定し、袴田は法的に死刑囚となった。

再審と釈放

袴田は有罪判決後も無罪を訴え続け、弁護団による再審請求が2度行われた。2014年3月27日、静岡地方裁判所が再審開始を決定し、刑の執行も停止された。彼は47年7ヶ月間の拘束から解放され、入院後に故郷に帰還した。

その後の生活

袴田は釈放後、地元の病院で治療を受け、2014年5月27日に故郷浜松に戻った。その後も一時的な入院や姉宅での生活を余儀なくされた。彼の事件は再審を経て無罪が確定するまで続いたが、袴田が法的には依然として死刑囚の地位に置かれていたことも注目される。2003年には自己の被害を訴え、国に対して勝訴し5億円の賠償金を得たと誤認するなど、長年の拘置生活による影響が父、精神的にも彼を苦しめていた。

映画とメディア

袴田事件を題材とした映画やドキュメンタリーも数多く制作されており、例えば『BOX 袴田事件 命とは』や『袴田巖 ―夢の間の世の中―』などがある。2016年から2023年にかけて、様々なメディアで彼の人生を描いた作品が公開され続けている。

読み方の違い

袴田の姓には「はかまだ」と「はかまた」の2つの読み方が存在し、一般的には「はかまだ」と呼ばれることが多いが、家族や弁護団では「はかまた」を正式な読みとしている。このため、事件名としての認識も「袴田事件」によって「はかまだ」の読み方が広まった。

ギネス世界記録

2013年には、長期間にわたり収監されていた死刑囚としてギネス世界記録に認定された。1968年の死刑判決から2010年の釈放までの42年がその根拠となった。

袴田巖は、自身の人生が大きな裁判の中で翻弄される中、無実を訴え続け、最終的に再審が始まることで真実が明らかになることとなった。彼の物語は、日本の司法制度や死刑制度に対する重要な問題提起を示唆している。

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