補装具

補装具：身体機能を支えるテクノロジーと制度

身体障害を持つ方が、失われた身体機能や部位を補うために使用する機器を補装具といいます。義手や義足といった義肢、身体を支える装具、車椅子などが代表的な例です。その他にも、杖、義眼、補聴器なども補装具に含まれます。2006年10月からは、重度障害者向け意思伝達装置とそのスイッチ類も補装具に加わりました。これらの機器は、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病患者の方々に使用され、導入には地域医療機関の関与や取扱業者との事前相談が不可欠です。一方で、T字杖は日常生活用具に移行し、補装具ではなくなりました。

補装具の給付制度

身体障害者手帳をお持ちの方は、都道府県の身体障害者更生相談所での判定を経て、市町村から補装具の給付を受けることができます。手続きを経ずに市町村で交付が決定される場合もあります。費用の補助は厚生労働省が定める価格を上限としており、所得に応じて自己負担額が変動します。高額所得者以外の方は、補助を受けることができます。ただし、市場には給付価格を超える高機能な製品も多く存在し、その差額は自己負担となります。しかし、この差額負担はデザインや素材による価格超過の場合のみ認められ、判定された種類以外の補装具を給付価格を超えて購入することはできません。例えば、手押し型車椅子の判定を受けた方が、差額を負担して電動車椅子を給付を受けることはできません。判定で認められなかった部品の追加や改造は可能ですが、その費用は自己負担となり、発生する問題は自己責任となります。

2006年10月以降の制度変更

障害者自立支援法の施行により、所得税額による自己負担金の変動はなくなりました。現在は、交付費用の1割を自己負担します。注意すべきは、この1割負担は厚生労働省が定める交付額に対するものであり、製品の総額に対する1割ではないということです。そのため、給付額を超える製品の場合、差額が発生します。

補装具の種類と関連事項

補装具は、個々の障害の種類や程度、生活状況に合わせて様々な種類があります。義肢装具士は、これらの補装具の製作や調整、そしてユーザーへの指導を行う専門家です。また、補装具の中には、FMシステムといった高度な技術を用いたものも存在します。

さらに、エピテーゼという、身体の欠損部分を補い、心理的な負担を軽減する人工物もあります。顔面エピテーゼは、顔の機能や外観を補う人工物です。これらの技術は、身体障害を持つ方々の生活の質を向上させる上で重要な役割を果たしています。

補装具の給付制度は、身体障害者の方々が自立した生活を送る上で重要な支援となります。制度の内容を理解し、適切な手続きを行うことで、必要な補装具を安心して利用することが可能になります。

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