見知らぬ明日

見知らぬ明日

小松左京による長編SF小説『見知らぬ明日』は、1968年4月から半年間、『週刊文春』に連載された作品です。

概要

物語の背景には、文化大革命の最中にあった中国という、当時の日本から見て「近くて遠い国」が存在します。この時代を舞台に、中国奥地で発生する異星人とのファーストコンタクト事件を中心に物語は展開します。国家間の軋轢、社会主義国家の秘密主義といった人類社会が抱える矛盾を描き出しながらも、人類が団結することへの希望を感じさせる内容となっています。

ケイブンシャが発行した『大百科シリーズ112 世界の怪獣大百科』では、本作に登場する敵宇宙人が巨大クラゲ獣として紹介されています。

ストーリー

新聞記者の山崎は、中国奥地での武闘に関する海外ニュースから、単なる内乱ではない何かを感じ取ります。折しもソビエト連邦への出張を命じられ、アエロフロート機でモスクワへ向かう途中、彼が搭乗する飛行機は中ソ国境付近で不時着してしまいます。そこで山崎は、ソビエト陸軍と正体不明の「敵」が核兵器まで使用する激しい戦闘を目撃します。

戦闘地域で山崎は、原爆症で瀕死のアメリカ人スパイ、ファーガスンから重要なメッセージを託されます。その「敵」とは、地球外から来た異星人であり、人類を虫けら以下としか見ておらず、殺戮を繰り返す存在であるというのです。中には、人類を捕食する異星人も存在すると言います。人類は生き残るために全ての力を結集して異星人に対抗しなければなりませんが、国家間の利害や不信感が協力の妨げとなります。やがて、「敵」の侵攻は中国大陸から全世界へと拡大していくのでした。

書籍情報

文藝春秋 1969年
角川文庫 角川書店 1973年10月 ISBN 4041308046
ケイブンシャ文庫 勁文社 1989年7月 ISBN 476691001X
ハルキ文庫 角川春樹事務所 1998年8月 ISBN 4894564262

映画化企画

ゴジラシリーズを手掛けた田中友幸によって映画化の企画がありましたが、実現には至りませんでした。

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