角指

角指（かくし）について

角指（かくし）は、日本における暗器の一つで、その形状はトゲのある指輪のようになっています。この武器は、角手（かくて）や万力（まんりき）とも呼ばれ、特に制剛流では角珠（かくしゅ）という名称で知られています。万力という名は、相手の腕を軽くつかむことで、相手に大きなダメージを与えることができるという特性からきています。また、角手という名称は、その名も表す通り、指に角が出ている特徴に由来しています。

この暗器は主に忍者によって暗殺や捕り物に利用されており、特に手軽に隠し持つことができるため、効果的な護身用武器とされています。使い方は非常に特異で、突起した針を手の内側に向け、指輪のように装着します。攻撃する際には、敵の顔面、首、手首、腕、足首などを強く握ることで、トゲが肉に食い込み、敵の動きを封じることが可能です。このテクニックにより、複数の傷を付けることになり、一方の傷をふさぐことで他の傷が開き、結果として大きなダメージを与えることができます。特に体格が小さな女性には、護身用として高い評価を受けています。捕まえる際には、相手の両手首をつかみ、角を食い込ませることで相手が痛みでひるんでいる隙を突き、捕縛することができます。

角指にはその種類にもバリエーションがあります。具体的には、角の数に応じて、1鋲から6鋲までのバリエーションが存在します。環のサイズについても、固定式のものとフリーサイズのものがあり、使用者の手に合わせた選択が可能となっています。また、天下無双流では、角が1鋲のものを千力、2鋲のものを千人力と呼ぶことにより、各武器の特性や効果が明確にされているのです。

このように角指は、見た目こそ小さな武器ですが、その威力や使用法は非常に奥深く、日本の武道や忍者文化において重要な役割を果たしています。日本の武器の中でも特に目立たない存在かもしれませんが、隠密な動作や攻撃に特化したこの武器は、玄妙な技法によって、使用する者に大きな力を与えるものとなります。

参考文献

• - 『歴史群像シリーズ【決定版】図説・日本武器集成』（学習研究社）
• - 『歴史人 2011年8月号』（KKベストセラーズ）
• - 『図説シリーズ 武器術』（新紀元社）

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