谷口けい

谷口けい（たにぐち けい）

谷口けい（1972年7月14日 - 2015年12月22日）は、日本の登山界における女性のパイオニアであり、アルパインクライマーとして多くの記録を残しました。彼女は「世界の山を巡る旅人」と自らを称し、登山への情熱と探求心に満ちた人生を送りました。彼女の本名は谷口桂です。

生い立ちと教育

和歌山県和歌山市に生まれた谷口は、千葉県我孫子市で育ちました。小学校の頃、冒険家植村直己の著作に触発され、デナリに挑戦することを夢見ました。高校3年生でアメリカに留学し、そこで活発な性格が開花。明治大学に入学し、アルバイトをしながら学びました。当時から「女性だからできない」という言葉を嫌悪し、自転車での挑戦を続けました。

大学卒業後は広告会社に就職しましたが、登山への情熱が高まり、京葉山岳会に参加。技術向上に励みつつ、過酷なアドベンチャーレースにも挑戦しました。2年半で会社を辞め、環境教育やツアーリーダーとして活動。特に、2002年から参加した野口健のエベレスト清掃隊によって彼女のキャリアが新たな局面を迎えました。

登山成績

谷口の登山活動は、数々の名峰への挑戦を含みます。2006年にはマナスル（8,163m）を登頂し、2007年にはエベレスト（8,848m）に成功。それに加えて、未踏のルートからの登攀に挑み、2008年にはカメットの南東壁を初登攀、さらにこの功績はピオレドール賞を受賞するきっかけとなりました。

彼女の登山パートナーは平出和也で、二人で数多くの印象的な登山を成し遂げました。彼らは2009年に女性初のピオレドール賞を受賞し、その功績は高く評価されました。

不慮の事故とその後

2015年12月21日、谷口は北海道の黒岳で登山中に滑落し、行方不明となりました。翌日、彼女は登山仲間によって心肺停止の状態で発見されました。死因は脳挫傷とされ、彼女は43歳という若さでその生涯を閉じました。登山を志したきっかけとなった植村直己と同じ年齢での死に、周囲の人々は衝撃を受けました。

彼女の死は登山界に大きな影響を与え、野口健はその後、谷口の限界を挑戦し続ける登山スタイルを評価しつつ、死亡を悼みました。

谷口けい冒険基金

谷口が遺した貯金や寄付を基に、「谷口けい冒険基金」が設立されました。この基金は、資金が足りない若手冒険家の支援を目的とし、年に2回の募集を行っています。また、彼女は数回にわたりメディアにも出演し、自らの経験を通じて他者に影響を与え続けました。

余韻

谷口けいの存在は、彼女自身の挑戦的な生涯を通じて、多くの女性や登山愛好者にインスピレーションを与えました。彼女の業績や冒険心は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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