谷新

谷新（たに あらた、本名：小口牧通（おぐち まきみち））は、1947年6月2日に長野県岡谷市で生まれ、2020年6月2日に逝去した美術評論家です。享年73歳でした。美術界において重要な役割を果たし、その多岐にわたる活動は現代美術の発展に大きく貢献しました。

生涯

長野県諏訪清陵高等学校を経て千葉大学を卒業後、谷は美術の世界へと足を踏み入れます。1972年、美術雑誌『みづゑ』の800号記念芸術評論募集で大賞を受賞し、その才能を開花させました。その後、株式会社商業界に入社し、広報部や月刊誌『販売革新』の編集部で勤務する傍ら、『みづゑ』や『美術手帖』といった美術専門誌に現代美術評論を寄稿しました。1989年には美術評論家として独立し、本格的に評論活動を開始しました。

国際的な活動

谷は、国際的な美術展覧会においても重要な役割を担いました。1977年のパリ・ビエンナーレでは作家推薦を務め、1982年と1984年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展では日本館コミッショナーとして、伊藤公象、川俣正、田窪恭治、堀浩哉、彦坂尚嘉、北山善夫など、数多くの日本人アーティストを世界に紹介しました。これらの活動を通じて、日本の現代美術を国際的な舞台へと押し上げることに大きく貢献しました。

また、国際交流基金アセアン文化センターにおける東南アジア現代美術調査や国内展覧会の企画にも携わり、アジアの現代美術の動向にも深い関心を寄せていました。2000年には「光州ビエンナーレ」のアジアセクション・コミッショナー、2018年には「第4回 水と土の芸術祭2018」の総合ディレクターを務めるなど、その活動は多岐にわたりました。

宇都宮美術館館長として

谷は、宇都宮美術館が1997年に開館した際から2017年3月までの20年間、初代館長を務めました。その卓越した見識とリーダーシップにより、美術館の発展に尽力しました。館長としての20年間で、数多くの展覧会を企画し、地域社会における美術の普及にも大きく貢献しました。

晩年

2020年6月2日、直腸癌により逝去。享年73歳でした。その生涯は、美術評論家としての深い洞察力と、国際的な視野を持って美術界に貢献し続けた偉大な足跡を残しました。

著書

谷は、美術評論家として多くの著書も発表しています。

「回転する表象 現代美術／脱ポストモダンの視角」（1992年）
「北上する南風―東南アジアの現代美術」（1993年）

これらの著書は、谷の美術に対する深い洞察と、幅広い知識を示すものであり、美術史研究においても重要な資料となっています。

主な共著・寄稿

「現代日本アーティスト名鑑ー現代を彩るクリエイター360の個性」（1995年）
「時空を超えてつむぐ : 多和英子vs放菴・達吉・鉄五郎 : 記録集」（2016年）

参考

* 美術評論家連盟AICA Japan

谷新の業績は、日本の現代美術の発展に欠かせないものであり、その思想と活動は今後も美術界に影響を与え続けるでしょう。

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