豊橋市公会堂

豊橋市公会堂：歴史と文化が薫る市民のシンボル

豊橋市公会堂は、愛知県豊橋市八町通に位置する、歴史ある公会堂です。式典や講演会など、多岐にわたるイベントで利用され、市民に親しまれています。その美しい外観は、国の登録有形文化財にも指定されています。

建設の背景とデザイン

大正デモクラシーの時代、豊橋市でも公会堂建設への期待が高まりました。1922年（大正11年）に建設案が市議会に提出され、紆余曲折を経て、1930年（昭和5年）に建築家・中村與資平の設計により建設が開始されました。翌1931年（昭和6年）に竣工した建物は、鉄筋コンクリート造で、ロマネスク様式を基調とした重厚なデザインが特徴です。

特に目を引くのは、スペイン風の円形ドームです。これは、1910年代から1920年代にかけてカリフォルニア州で流行した、スパニッシュ・コロニアル・リバイバル建築という様式を模倣したもので、異国情緒あふれる雰囲気を醸し出しています。

戦災からの復興と市民との関わり

太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）6月、豊橋市は空襲により甚大な被害を受けましたが、公会堂は奇跡的に焼け残りました。そのため、戦後は一時的に豊橋市役所の機能が移転し、市民生活を支える拠点となりました。また、1948年（昭和23年）から1952年（昭和27年）までは豊橋中央公民館として、1969年（昭和44年）から1979年（昭和54年）までは1階部分が市民窓口センターとして利用されるなど、時代に合わせてその役割を変えてきました。

その後、中央公民館が新たに設置されたことで、再び公会堂としての機能を取り戻し、現在に至ります。講堂客席部を中心に改修を重ねながらも、外観やドア、窓サッシなどは建設当時のまま残されており、歴史の重みを感じさせます。戦時中に供出された金物も一部復元され、正面外観を飾っています。

施設概要

構造：鉄筋コンクリート造3階建
敷地面積：4,039.22平方メートル
延床面積：2,945.27平方メートル
開設：1931年（昭和6年）8月24日
大ホール：客席601席（2階：469席、3階：132席）

歴史年表

1921年（大正10年）10月：公会堂建設資金の寄付が決定
1922年（大正11年）8月：公会堂建設の計画が提出
1928年（昭和3年）9月：市議会で建設が決定
1930年（昭和5年）7月：着工
1931年（昭和6年）8月：公会堂が完成
1945年（昭和20年）6月：仮市役所として利用開始
1946年（昭和21年）10月21日：昭和天皇が行幸
1948年（昭和23年）10月：「豊橋中央公民館」として利用開始
1969年（昭和44年）9月：1階を「市民窓口センター」として利用開始
1970年（昭和45年）11月24日：秩父宮勢津子妃が御成り
1998年（平成10年）9月：国の登録有形文化財に登録
1999年（平成11年）：外壁等の大規模改修工事を開始
2000年（平成12年）1月：改修工事が完了

アクセス

豊橋鉄道東田本線 市役所前停留場下車、徒歩ですぐ

豊橋市公会堂が登場する作品

陽気なギャングが地球を回す - 劇中の銀行として使用
* 官僚たちの夏 - 撮影に使用

豊橋市公会堂は、その美しい建築様式と、時代とともに変化してきた役割を通して、豊橋市の歴史と文化を今に伝える貴重な存在です。ぜひ一度、その目で確かめてみてください。

豊橋市公会堂公式サイト

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