赤福餅

赤福餅（あかふくもち）

赤福餅は三重県伊勢市を拠点とする和菓子メーカー赤福が誇る伝統的な和菓子で、特に「伊勢名物」として知られています。この餅は、主にあんころ餅に分類され、柔らかい餅で漉し餡をすっぽり包み込んでいます。餅の表面には特徴的な三本の筋が施されており、これは五十鈴川の流れを象徴しています。非常に柔らかい餅のため、持ち帰る際には崩れやすく、注意が必要です。

赤福は、特に中京圏や近畿圏のJR線の主要駅、近鉄沿線の特急停車駅、サービスエリア、百貨店、空港の売店などで広く購入可能で、時には岡山県など遠方でも手に入ることがあります。この販売範囲は、伊勢神宮の信仰が厚い地域と重なるとの説もあり、観光客だけでなく地元の人々にも親しまれています。

本店と季節限定商品

赤福の本店は、伊勢神宮の内宮近くに位置し、その周辺にはおかげ横丁という観光スポットがあります。ここでは、通常の赤福餅に加え、夏季限定の「赤福氷」や冬季限定の「赤福ぜんざい」などが販売され、特に観光客に人気です。これらの季節限定商品は、伊勢志摩地域や名古屋、大阪の一部店舗でも楽しむことができます。

来歴

赤福は約300年前に創業したとされ、正確な創業年は定かではありませんが、江戸時代には既に「赤福」と名乗る餅屋が存在していました。1707年に書かれた浮世草子には、赤福を名乗る店が登場しており、これが赤福の屋号の初出とされています。また、「赤」という名称は、「赤心慶福」という言葉に由来するとしており、創業者が名茶道家から名づけられたとの言い伝えがあります。

創業当初、赤福餅には砂糖が使われておらず、塩味の餡が主流でしたが、1787年以降に砂糖の使用が普及し始め、現在の黒砂糖餡が確立しました。1895年には「赤福」という名称が正式に使用されるようになり、消費者に親しまれる存在となりました。

第二次世界大戦後

赤福は戦後も急速に成長し、1968年には非上場企業として法人化され、現在のような店舗展開を開始しました。特に1980年代から1990年代にかけて全国ネットのテレビCMが人気を博し、赤福餅は幅広い顧客層に支持されることとなりました。長年にわたり、赤太郎というキャラクターがCMに登場し、親しみやすさをアピールしています。

音声の発生と製造体制

2000年代に入ると赤福は国内外の市場へと展開を加速しましたが、2007年には大きな問題を抱えることになります。それは、消費期限や製造日、原材料の虚偽表示に関する問題です。この事件は消費者の間に大きな反響を呼び、企業イメージにも影を落としました。その後、赤福は生産体制の見直しと改善策に取り組み、2008年には営業を再開しました。

現在の赤福

現在、赤福は全国的にその名を知られており、代々受け継がれた製法で作られる赤福餅は、今なお多くの人々に親しまれています。餅は手作りにこだわり、地域のイベントや特別な季節ごとの商品を展開し続けています。変わらぬ伝統と革新を融合させつつ、今後も赤福は愛され続けるでしょう。

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