赤穂市立図書館

赤穂市立図書館：歴史と文化が息づく情報拠点

はじめに

兵庫県赤穂市中広にある赤穂市立図書館は、地域住民にとってかけがえのない情報と文化の拠点です。1972年の開館以来、幾多の変遷を経て、現在に至るまで市民に親しまれ、利用されています。本記事では、赤穂市立図書館の歴史、建築、特色、そしてサービスについて詳しくご紹介します。

歴史：加里屋中州時代から中広時代へ

1972年7月、赤穂市加里屋中州に開館した赤穂市立図書館は、兵庫県内でも早い段階で設立された公共図書館の一つでした。1970年代前半は、兵庫県内の多くの市で公共図書館が次々と開設された時期であり、赤穂市立図書館もその流れの中で誕生しました。開館当初から高い利用率を誇り、蔵書数、資料費、貸出冊数においても県内トップクラスの成績を収めていました。

1995年の阪神・淡路大震災では、近隣の図書館が大きな被害を受けましたが、赤穂市立図書館は幸いにも被害を免れました。しかし、加里屋中州の旧館は老朽化が進み、狭隘化も深刻な問題となっていました。そこで、赤穂市制施行50周年記念事業として新館の建設が計画されました。市民参加型のワークショップも開催され、関係者による綿密な議論を経て、2001年12月に新館が竣工。2002年3月3日に新館が開館しました。

新館は、JR赤穂線播州赤穂駅から徒歩10分の場所に位置し、文化会館などの公共施設や商業施設が集中する場所に建設されました。総事業費は22億8500万円にのぼり、約9万8千冊の蔵書を収蔵する大規模な図書館として生まれ変わりました。同時にコンピュータシステムを導入し、貸出、返却、予約、検索などの業務の効率化が図られました。さらに、市内9箇所の公民館と図書館をネットワークで接続し、情報共有を推進しました。旧館は、赤穂市教育委員会生涯学習課市史編さん室として活用されています。

新館は、グッドデザイン賞建築・環境デザイン部門賞をはじめ、数々の賞を受賞しました。移転後、貸出冊数は倍増し、2010年には年間入場者数が23万7千人を記録するなど、市民から高い支持を得ています。祝日開館も実施され、利用者の利便性向上に努めています。2013年には『日本の最も美しい図書館』にも掲載されるなど、建築デザインにおいても高い評価を受けています。

建築：赤穂城下町をイメージした洗練された空間

現行館の設計は佐藤総合計画関西事務所が担当しました。鉄骨鉄筋コンクリート造の2階建てで、赤穂城の城下町をイメージしたデザインが特徴です。南側の壁面は全面二重ガラス張りで、開放的な空間を演出しています。館内には大きな吹き抜けがあり、一般書架室は天井が高く、広々とした空間となっています。書架などの家具はインテリアデザイナーの近藤康夫氏によるデザインで、流下式塩田の枝条架をイメージしたユニークなデザインです。

児童閲覧室には、草間彌生氏デザインの窓『水玉の銀河』があり、子供たちに人気です。また、奈良美智氏の彫刻『メルティングムーン』や山崎正義氏の彫刻『おはようの群像』など、現代美術作品も館内に飾られています。1階と2階には屋外読書テラスが設置され、自然を感じながら読書を楽しむことができます。

特色：充実した蔵書と多様なサービス

2014年時点で、赤穂市立図書館の蔵書数は約18万冊に上ります。雑誌や新聞も豊富に揃え、地域資料コーナーには赤穂浪士や忠臣蔵に関する貴重な資料が充実しています。館内には、ブラウジングコーナー、AVコーナー、児童閲覧室など、多様なニーズに対応したスペースが用意されています。

館外貸出：広域連携による利便性向上

赤穂市立図書館は、東備西播定住自立圏や播磨圏域連携中枢都市圏の住民、赤穂市在学者、在勤者にも館外貸出サービスを提供しています。これにより、近隣自治体の住民も図書館の利用が容易になりました。2016年には播磨圏域連携中枢都市圏に加盟し、圏域内の公共図書館との相互利用が可能となりました。さらに、関西福祉大学図書館でも館外貸出サービスを利用できます。

電子図書館：先進的なデジタルサービス

赤穂市立図書館は、2013年に兵庫県内の公共図書館として初めて電子図書館サービスを開始しました。パソコン、タブレット、スマートフォンなどから、いつでもどこでも電子書籍を閲覧できます。貸出期間は2週間で、自動返却機能により延滞の心配もありません。電子図書館サービスの導入は全国的にも早く、地域資料の電子書籍化にも力を入れています。

利用案内

開館時間：午前10時～午後6時（金曜日：午前10時～午後8時）
休館日：月曜日、第4木曜日、年末年始、図書整理期間
貸出制限：最大10冊、2週間

まとめ

赤穂市立図書館は、歴史と文化が息づく、地域住民にとってなくてはならない存在です。充実した蔵書、快適な空間、そして先進的なデジタルサービスを提供することで、今後も地域社会の発展に貢献していくでしょう。

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