蹄葉炎

蹄葉炎（ていようえん）について

蹄葉炎は有[[蹄類]]の疾病の一種であり、特に馬や牛での発生が多く報告されています。この病態は、蹄部に生じる炎症に起因し、患部に激しい疼痛を伴います。馬は体重が重く、心臓からの血流が十分に行き渡らないことがあり、蹄部における血液循環が非常に重要です。通常、蹄機能が血流を助けていますが、怪我や疾病により動けなくなることで、血流が阻害され蹄葉炎を引き起こします。

蹄葉炎の仕組み

蹄葉炎の発症メカニズムは、真皮葉内での水腫や血管の拡張、神経系の水腫などが関与していると考えられています。これらが原因で、正常な血液供給が妨げられることで、蹄の角化過程にも影響を与え、蹄芽原線維の形成が不十分または停止し、葉状層の異常が生じます。このため、蹄葉炎は時間経過とともに症状が悪化し、場合によっては命に関わる事態に発展します。

発症原因

この疾患の主な原因として、下痢や感染症といった全身疾患、または穀物の過剰摂取が挙げられます。これにより腸内のバランスが崩れ、有害な内毒素が生成されることがあります。また、流産や早産の直後、過度な疲労も発症の要因として考えられます。特に競走馬の場合、前肢に発症することが多く、対側の肢に以前から骨折や関節炎を抱えていることが多いです。これは、長時間の負重によって引き起こされることが多く、既往症との関連が指摘されています。

発症後の対処

蹄葉炎が確認された場合、一般的にはレントゲン検査の結果に基づいて、蹄の保護と疼痛管理を行うのが標準的な治療方針です。重度の症例では、獣医学的療法に加えて、特別な装蹄療法が不可欠になることもあります。また、深屈腱の切断手術が行われるケースもあります。治療が成功し、元気を取り戻す馬もいる一方で、最悪の場合、起立不能に至り安楽死が選択されることもあります。

慢性蹄葉炎の場合、発症から1か月経過すると蹄壁と葉状層の間に黄色い贅生角質が形成されることがあり、これを取り除く必要があります。ただし、発症から1か月以内は装蹄を行わず、1か月後からの処置が推奨されます。

最近の研究

カリフォルニア大学デービス校においては、抗炎症性化合物T-TUCBが蹄葉炎の治療に有効である可能性が示され、期待されています。このように、研究は進展しており、将来的にはより効果的な治療法が確立されることが望まれています。

蹄葉炎による影響

著名な競走馬の中にも蹄葉炎によって影響を受けた事例が多数存在します。例えば、サラブレッドの中で名を馳せた馬たちの中には、軒並み蹄葉炎の診断を受けたものもいます。これにはテンポイント（1978年）、Secretariat（1989年）、サンデーサイレンス（2002年）など、歴史的に有名な競走馬が含まれます。彼らの死因が必ずしも蹄葉炎であるとは限らないものの、この病気の影響は計り知れません。

蹄葉炎は、馬を飼育する際に注意が必要な疾患であり、その予防と早期発見が重要です。

もう一度検索