車いすテニス

車いすテニスの概要

車いすテニス（英語: wheelchair tennis）は、車いすに乗ることで障がい者が参加できるテニス競技です。この競技は、一般テニスとほぼ同じルールで行われますが、ボールを相手コートに打ち返す際には、2回のバウンドまで許される特例があります。このため、障がい者は車いすを使用しないテニスプレイヤーと競い合ったり、同じチームでプレイすることが可能です。

競技する際には、単純にテニスの技術が求められるだけでなく、車いすを俊敏に操る能力、いわゆるチェアワーク（車いすによるフットワーク）が試合の勝敗に大きく影響します。このように、車いすテニスは技術と戦略が詰まった競技であると言えるでしょう。

競技クラス

車いすテニスには次の4つのクラスがあります：

• - 男子
• - 女子
• - クァード
• - ジュニア

クァードクラスは四肢麻痺の選手を対象としており、ジュニアクラスには18歳未満の選手が参加します。各クラスにはシングルスとダブルスがあり、クァードクラスは男女の選手が混合でペアを組むことができます。また、障がい者と健常者が一緒にプレイするダブルスは「ニューミックス」と呼ばれます。

ショルダリングと用具

競技で使用するラケットやボールは通常のテニスと変わりません。また、コートのサイズもそのまま使われます。しかし、プレイヤーが効率的にボールを返球するためには、特別な特徴を持つ競技用車いすが必要です。この車いすは軽量で、二つの車輪の上部が内側に傾斜しており、素早く方向転換することが可能です。加えて、小さな補助輪も取り付けてあります。

クァードクラスでは、一部の選手の筋力が低下しているため、ラケットと手をテーピングすることが許可されています。競技中、体温調節が難しい選手のために暑さ対策も重要で、日よけや氷の準備が求められています。

歴史の歩み

車いすテニスが正式に競技として成立したのは1976年で、アメリカのブラッド・パークスがジェフ・ミネンブレイカーとともに始めました。彼は、障がい者が車いすでテニスを楽しめるように、車いすに改良を加え、本格的な競技スポーツとするために動き出しました。1977年には初のトーナメントも開催され、1980年にはアメリカ車いす財団が設立されました。

1981年には車いすテニス選手協会（WTPA）が設立され、国際的な普及が進みました。1988年には国際テニス連盟によって2バウンドルールが承認され、車いすテニスはその後、パラリンピックでも行われるようになりました。

1990年代に入ると、健康者との同時開催イベントが増え、1992年のバルセロナパラリンピックからは正式にオリンピック競技として位置付けられました。この流れは、その後の大会やツアーにおいてさらに強化されることになります。

主要な競技会

現在、車いすテニスではNEC車いすテニスツアーが開催され、その中にはグランドスラム、マスターズ、スーパーシリーズといった格付けの大会があります。特に車いすテニスにおけるグランドスラムは、全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、全米オープンの4つで構成されており、世界中の選手がそこで技術を競っています。

主要選手

現代の車いすテニス界では、国枝慎吾選手やエステル・フェルヘール選手など、数多くの優秀な選手が活躍しています。これらの選手は、各大会での頻繁な勝利を収め、車いすテニスの発展に寄与し続けています。今後も車いすテニスは男女問わず多くのプレイヤーに親しまれ、さらなる成長が期待されます。

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