転落防止幌

転落防止幌（てんらくぼうしほろ）

転落防止幌とは、鉄道車両の連結部分に配置される装置で、プラットホーム上の旅客が線路に転落するのを防ぐことを目的としています。この装置は、連結部分に装着され、乗客が不意に倒れ込むことによる事故を防止します。鉄道事業者ごとに異なるデザインや構造が存在し、主に車両の車体塗装に合わせたスタイルで設計されることが一般的です。

この装置は特に急カーブを持つ路線（例: 西武[[鉄道]]、京王電鉄、近畿日本[[鉄道]]など）においては重要で、前後の車両に一体型のものを取り付けると干渉が起こる可能性があるため、上下に分割して配置する方法が採用されることもあります。これにより、走行時の安全性が確保されています。

最近では、新造車両の段階からこの幌が装着されることが増えてきており、改造や更新工事によって後付けされることもあります。ただし、全ての運行区間にホームドアが導入されているような場所では、安全上の理由から新造車両でも省略されることが多いです。

例えば、京浜急行電鉄や京成電鉄の一部車両には、見た目は一般的なデザインでありながら、点検時に折り畳むことができる構造の転落防止幌が導入されています。ただし、京浜急行電鉄は折り畳み式の採用を中止し、より一般的なタイプを採用しています。現時点では、折り畳み式の転落防止幌は京成電鉄、新京成電鉄、北総[[鉄道]]の車両にだけ見られます。

西日本旅客[[鉄道]]（JR西日本）では、2010年の舞子駅での乗客転落死亡事故を契機に、特定の車両を除き多くの車種に先頭車間転落防止幌の装着が進んでいます。新たに製造される車両には、急結合がない形式や増結を頻繁に行う形式においても、標準装備として取り付けられるようになっています。これにより、利用者の安全性向上が図られています。

転落防止幌にはいくつかの種類があります。例えば、連結面の高さまで達する「フルハイトタイプ」、一般的に多く使われる「ハーフハイトタイプ」、折り畳み可能な「折り畳みタイプ」、前後の車両で噛み合う「段違いタイプ」、そして棒状の構造を持つ「棒状タイプ」があります。これらはそれぞれの路線や車両の特性に応じて設計されています。

この装置の歴史は古く、1927年に開通した東京地下鉄道の1000形や、1933年に開通した大阪市営地下鉄の100形には、すでに「安全畳垣」という名で同様の機能を果たす装置が搭載されていました。利用者の安全確保に寄与してきた歴史的な役割を持つ転落防止幌は、今後も鉄道輸送の安全性を支える重要な存在であり続けることでしょう。

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