輔仁親王

輔仁親王について

輔仁親王（すけひとしんのう）は、平安時代に生まれた皇族で、後三条天皇の第三皇子です。生年は延久5年（1073年）の1月19日で、母は藤原氏の一員である源基平の娘・基子です。輔仁には、異母兄の白河天皇および同母兄の実仁親王がいます。

経歴の詳細

後三条天皇は、藤原北家閑院流の直系として、皇位継承者としての期待をかけられていた長男・貞仁親王（後の白河天皇）よりも、女御の源基子との間に生まれた輔仁親王を重視していました。1072年、白河天皇が即位すると、実仁親王が皇太弟に指名され、輔仁親王の誕生後には、後三条天皇が後に皇太弟に輔仁親王を指名する遺言を残しました。しかし、実仁親王が1085年に亡くなると、白河天皇は父の遺志を無視し、実子の善仁親王を皇太子に立てました。これにより、輔仁親王の皇位継承の道は一層困難になりました。

輔仁親王は1075年に「親王」の宣下を受け、1087年には元服を迎えました。この際、加冠を担当したのは藤原実季で、理髪を源道良が行いました。しかし、白河上皇からは冷遇され、必要な品位を与えられなかったことは、彼の心に影を落としました。

年代が進むにつれ、1103年には堀河[[天皇]]の第一皇子・宗仁親王が生まれ、宗仁親王は1107年に鳥羽天皇として即位しますが、依然として朝廷では輔仁親王への期待の声が高まる状況が続きました。しかし、輔仁親王は仁和寺の近くに自らの隠遁生活を送り、1113年には彼を支持する護持僧である醍醐寺の仁寛らが輔仁親王の即位を企てる事件（永久の変）に関与することになります。この影響で、輔仁親王の皇位継承の可能性は閉ざされ、彼は2年間、閉門の生活を余儀なくされました。

その後も白河法皇から警戒されつつも、輔仁親王は元永2年（1119年）に没し、その死は憂いの中で迎えられました。一方、白河法皇は有仁王を特別に遇し、鳥羽天皇の皇子が誕生した後に有仁王が臣籍降下した際にも、公卿に昇進させるなど、巧妙に対応しました。こうした背景から、政治的な立場は常に難しいものでした。

文化的功績

輔仁親王は、同母兄の実仁親王とともに、優れた知性を持ち、詩歌においても優れた才能を発揮しました。彼は風雅の士として名高く、漢詩文の分野での博学が称えられました。特に、醍醐天皇の皇子兼明親王と共に称賛されていた彼の作品には、『本朝無題詩』の25首や『新撰朗詠集』の5首が残されています。また、和歌についても『金葉和歌集』に17首が収められています。

彼の死後、白河法皇が源俊頼に『金葉和歌集』の編纂を命じた際には、親王の歌が9首採用される一方、白河法皇がその名を「輔仁の親王」から「三宮」と改めさせたというエピソードが伝わっています。

系図

輔仁親王の妃や子女の関係も注目されます。彼には源政長女・信証（1103年生 - 1142年没）、源師忠女、有仁王，守子女王（伏見斎宮）、仁子女王、源行宗女、怡子女王など、複数の子女がいます。これらの親子関係は、平安時代の皇室の複雑さや血縁関係の重要性を示すものでもあります。

その多様な経歴と芸術性から、輔仁親王は平安時代の重要な人物の一人として記憶されています。

もう一度検索