運上

運上（うんじょう）とは

運上（うんじょう）は、日本の近代における租税の一形態であり、特に金銭によって納付される場合には「運上金」と呼ばれます。この制度は、日本の税制の発展と経済の多様化の中で変遷してきました。

歴史的背景

その起源は中世にさかのぼります。当時、荘園で獲れた年貢を中央の領主に貢納する行為が運上に相当していました。この流れは江戸時代に進化し、農業から多様な産業にわたる税制へと展開されました。江戸時代では、商業、工業、漁業などの分野で従事する者に対して、運上が課されるようになりました。これに似た形として「冥加（冥加金）」という税も存在し、特定の免許を受けた者が必要に応じて上納する税でしたが、両者の違いは次第に曖昧になっていきました。この運上の制度は、賦課を行う主体が幕府であるか地方藩であるかによっても異なりました。

納付のしくみ

運上は通常、年単位で一定額が賦課されます。対象者は年季満了時までに金銭で納付することが求められ、新しい年における課税額は申請によって定められました。原則的には1年ごとでしたが、時には複数年にわたる契約も結ばれ、10年や20年という長期のケースも存在しました。

明治維新以降の変化

明治維新後の1869年、運上と冥加については従来の制度を維持するとされましたが、1875年には多くの地方雑税が廃止され、既存の運上と冥加もほとんどが姿を消しました。その代わりに、営業税や各種間接税へと移行していったため、運上は近代的な税体系の変革の中で消えていったのです。

代表的な運上の種類

運上にはいくつかの種類がありますが、以下に代表的なものを挙げます。

• - 櫨蝋運上: 薩摩藩での櫨蝋取引に関連する運上。
• - 水車運上: 精米などに使用される水車に対する課税。
• - 市場運上: 町の市場全体を一単位として賦課される税。
• - 問屋運上: 各種問屋に対して課されるもの。
• - 小漁運上: 漁業に従事する者に対して課税される運上。
• - 諸座運上: 商業団体に課される税。
• - 鉄砲運上: 猟師や害獣駆除用の銃を持つ農民に課税。
• - 酒運上: 酒造業者に対する課税。
• - 長崎運上: 長崎貿易に関与する商人に課される運上。

運上は、日本の近代税制の形成において重要な役割を果たした歴史的な制度であり、税の概念や納税のあり方についての理解を深める鍵となりました。

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