運命の恋人

運命の恋人

『運命の恋人』（うんめいのこいびと）は、日本の漫画家宮脇明子による作品で、1995年から1996年にかけて「コーラス」に連載されました。全2巻が1996年にYOUNG YOUコミックスから出版され、2004年には番外編「ファミリートゥリー」が追加収録された集英社文庫がリリースされています。また、この作品は後にテレビドラマとしても制作されました。

物語の概要

作品は、主に拉致、監禁、及びその間に生じる被害者と加害者の心理的な葛藤をテーマとしています。物語の主人公である高校1年生の澪生は、美術教師の加賀見が顧問を務める美術部に友人の勧めで入部します。しかし、彼女は加賀見から向けられる不気味な視線を感じ、不安に苛まれることになります。ある日、澪生は加賀見の手により偽装された自宅に連れ込まれ、地下室に監禁されてしまいます。

加賀見は、澪生を運命の恋人だと信じ込み、彼女がそれを認めるまで監禁を続けると宣言します。しかし、澪生はそんな主張に抗う決意を抱き、さまざまな方法での脱出を試みるものの、時間の経過とともに彼女の内面には変化が起こっていきます。この作品は心の闇と、ストーカーのような執着が引き起こす恐怖を描写し、観る者に深い考察を促します。

登場人物

• - 斉藤澪生（さいとう みお）: 主人公の15歳の少女。父親を亡くし、母親と妹とともに暮らす。
• - 加賀見準（かがみ じゅん）: 澪生らが通う高校の美術教師。地主の息子で一人暮らしをしている。
• - 中井加奈（なかい かな）: 澪生の友人で、彼女の失踪に対して不審感を抱く。
• - 小津和雄（おづ かずお）: 美術部の一員で、加賀見の近所に住む。
• - 大場香（おおば かおり）: 英語教師で加賀見に恋心を抱いている。
• - 十和子（とわこ）: 加賀見の元妻。
• - 山口保（やまぐち たもつ）: 澪生のマンションの向かいに住むカメラマンで、後に不審な死を遂げる。
• - 辻安兵衛（つじやすべえ）: 山口の事件を捜査する刑事。

テレビドラマ

1997年には、テレビ朝日系列で『運命の恋人』が二夜連続のクリスマス・スペシャルとして放送されました。キャストには、澪生役に夏生ゆうな、加賀見役に大浦龍宇一が配され、その他にも魅力的なキャラクターたちが登場します。

テーマと影響

本作では、ストーカーやストックホルム症候群、精神的なトラウマ（PTSD）など、深刻なテーマが取り上げられています。監禁という過酷な状況下での人間関係の変容や心理的なジレンマが描かれ、視聴者や読者に強い印象を残す作品として評価されています。社会の裏側や人間の内面に潜む闇を描いたこの物語は、心理的なサスペンスに興味がある方にとって、ぜひ眼を通してほしい一作です。

もう一度検索