鄭天寿

鄭天寿：水滸伝の美青年

鄭天寿（てい てんじゅ）は、中国の古典小説『水滸伝』に登場するキャラクターで、四大奇書の一つに数えられています。彼は梁山泊の七十四位の好漢として親しまれ、その美しい容貌から「白面郎君」という渾名で呼ばれています。すらりとした背の高い彼の姿は、色白で洗練された美青年を思わせますが、彼の性格は山賊の中でも特に穏やかで大人しいものでした。

出身と経歴

鄭天寿は蘇州に生まれ、もともとは銀細工師として働いていました。しかし、家が没落し、彼は各地を放浪せざるを得なくなります。その際、武芸に興味をもち、新たな生活を求める中で、清風山で彼に襲いかかってきたのは、王英らの一団でした。彼はこの戦いで互角の実力を示し、首領の燕順に才能を見いだされて山賊としての生活を選ぶことになります。

宋江との出会い

ある年の暮れ、鄭天寿は逃亡中の義士である宋江と出会います。宋江を客人として丁重にもてなした彼ですが、その数日後、王英が劉高の妻を捕らえようとし、鄭天寿は宋江とともに彼を諌め、最終的には無事に彼女を解放することに成功します。しかし、その後、劉高の妻が恩知らずにも宋江を告訴し、彼の運命が一変してしまいます。

戦闘と仲間との絆

山賊たちは、護送隊を待ち伏せして宋江と花栄を救出します。鄭天寿は、この戦闘においても一翼を担い、さらには秦明を地形を利用して翻弄するなど、戦闘での腕を発揮します。彼の忠誠心と戦術は仲間たちを助け、また自身の名誉を高めます。その後、梁山泊への合流が決まり、彼は新たな仲間たちとともに新天地へ向かいます。

しかし、江州に流されていた宋江が無実の罪で処刑されかける危機に直面すると、鄭天寿はその救出に参加します。この頃から彼は、梁山泊の守備を主に担当するようになり、攻撃よりも防衛に徹することが多くなります。

戦場での活躍と最期

百八星が集結した後、鄭天寿は歩兵軍の将校として任命され、戦場に出る機会が増えました。彼は水夫に変装し、敵の水軍を襲撃して敵将を捕えるなど活躍しました。彼は朝廷に帰順した後も活躍を続けましたが、方臘討伐戦の宣州攻撃で怪我を負い、致命的な傷を負ってしまいます。結局、彼は陣中で命を落とすこととなり、梁山泊での活躍を終えるのです。

鄭天寿の物語は、彼の戦闘における忠誠心、仲間を思いやる心、そして悲しい運命を描いており、『水滸伝』の中でも重要なキャラクターの一人とされています。彼の存在は、外見だけでなく、内面の強さをも象徴しています。

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