金子健二

金子健二について

金子健二（かねこ けんじ）は、1880年1月13日に新潟県中頸城郡新井町で生まれ、1962年1月3日に亡くなった日本の著名な英文学者および翻訳者です。彼は、文学と教育の分野で数々の業績を残し、特に夏目漱石や小泉八雲といった文学界の巨星から多くの影響を受けました。

経歴

金子は高田中学校から東京の郁文館中学校、第四高等学校を経て、1905年に東京帝国大学英文科を卒業しました。在学中は小泉八雲の講義を受け、その後、夏目漱石の講義も体験しています。彼は毎日の講義内容を詳細に日記に記録しており、その日記は後に『人間漱石』や孫の金子三郎によって編集された書籍に反映され、漱石研究者にとって重要な資料となりました。

特に八雲の講義は鋭い文学的洞察に満ちており、金子はその影響を強く受けたと述べています。彼は「諄乎たる芸術愛好への手引き」と評し、その後、八雲の教え子として『小泉八雲全集』の翻訳も手がけました。漱石の講義は当初不評でしたが、後にシェークスピアについての講義が始まり、再び金子はその教学の素晴らしさを賞賛することになります。

大学卒業後、金子は長野県飯田中学校の教諭となりますが、1907年に米国に留学し、カリフォルニア大学バークレー校で古代・中世英語を研究しました。1909年に帰国後は広島高等師範学校の教授に就任。彼は漱石からのアドバイスを受けて、田舎の中学で教えることを選び、資金を貯めながら学問を続けました。

その後も金子は教育界での役割を果たし、在外研究員として渡欧し欧米各地を視察研究。後に、静岡高等学校の校長や姫路高等学校の校長を歴任します。1941年には日本女子高等学院で教授としての地位を持ち、また同年には従三位に叙されるなど、その社会的地位を確立しました。1949年には昭和女子大学の初代学長に就任し、教育者としての業績を高く評価されました。

著書と翻訳

金子は多くの著書と翻訳があります。彼の著書には『言葉の研究と言葉の教授』や『英国自然美文学の研究』などがあり、言語や文学の研究に貢献しました。また、翻訳活動も精力的に行い、『東洋旅行記』や『カンタベリ物語』など、海外の文学作品を日本に紹介しました。これらの業績は、彼がいかに多様な文化ととのつながりを持っていたかを示しています。

終わりに

金子健二の生涯は、文学と教育の架け橋となる多彩な活動に彩られています。彼の業績は今なお多くの研究者や学生に影響を与えており、日本の英文学界における重要な位置を占めています。彼の人間としての誠実さや教育への情熱は、現在も評価され続けています。

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