金色の翼

あらすじ

東京から200km離れた孤島のリゾートホテルに、300億ドルの遺産を相続した未亡人・修子が訪れる。彼女は金に執着する人々から逃れたいと願っていたが、ホテルの従業員である槙と恋人の理生は、島を出るための資金を得ようと修子を欺く計画を立てる。ホテルの滞在者たちもまた、修子の財産を狙い暗躍する。しかし、槙は次第に修子に本気で恋をしてしまい、物語は複雑に展開していく。修子には夫殺しの容疑もかけられ、それぞれの思惑が交錯する中で、事件の真相が明らかになっていく。

作品の特徴

本作は、ヘンリー・ジェイムスの小説『鳩の翼』を原案としているが、登場人物の設定に若干の影響がある程度で、ストーリー自体は大幅にアレンジされている。修子と槙の恋愛を中心に、ホテルを舞台にした愛憎劇、修子の過去、そしてホテル滞在者たちの欲望が複雑に絡み合う群像劇として描かれている。前作の『危険な関係』や『美しい罠』と比較すると、サスペンス要素は少ないものの、登場人物たちの心理描写やドラマチックな展開が魅力である。

撮影セットや一部のエピソードが前作『美しい罠』と似ている点も特徴。また、槙と理生が度々島から外出している描写があり、「島に縛られている」という設定に矛盾が生じている点も指摘されている。放送開始当初から、番組オリジナルグッズの販売やレストランでの番組特製ランチメニュー企画など、宣伝に力を入れていたが、視聴率は伸び悩んだ。

主な登場人物

日ノ原修子（演：国分佐智子）: 日ノ原コンツェルン会長の未亡人。夫の殺人容疑をかけられた過去を持つ。槙と恋に落ちるが、狡猾な一面も持ち合わせている。
吉岡槙（演：高杉瑞穂）: ホテル従業員。兄が起こした事件の容疑者として疑われた過去がある。当初は修子を騙して金を奪おうとするが、次第に彼女を本気で愛してしまう。
行永理生（演：肘井美佳）: ホテルオーナー代行。槙の恋人。修子を利用して島を脱出しようとするが、修子と槙の仲に嫉妬する。
瀬川玻留（演：倉貫匡弘）: 修子の弟。遊び人だが、姉思いな一面もある。槙を嫌っている。拳銃を常に所持している。
奥寺麻人（演：黒田アーサー）: 資金繰りに困っている企業社長。修子の財産と美貌に惹かれ、理生との婚約を解消する。
奥寺玖美（演：上野なつひ）: 麻人の娘。玻留に恋をし、妊娠してしまう。
行永セツ（演：剣幸）: ホテルオーナー。ホテルの負債を解消するために、修子や槙を巻き込む。
脇坂静江（演：沖直未）: 投資家。セツに復讐するために、ホテルの買収を企む。
保科絹子（演：高嶺ふぶき）: 自称小説家。修子の過去と事件に興味を持つが、実は警視庁の捜査官である。
迫田文雄（演：片岡弘貴）: 日ノ原コンツェルンの顧問弁護士。修子の夫殺しを疑い、ある書類を見せるために日本にやってくる。
杉浦敦（演：佐々木勝彦）: ホテル支配人。娘の仇が島にいると知り、偽名を使ってホテルで働いている。

スタッフ

原案: ヘンリー・ジェイムス『鳩の翼』
脚本: 金谷祐子
プロデューサー: 風岡大（東海テレビ）、浦井孝行（国際放映）、河角直樹（国際放映）
演出: 奥村正彦、村松弘之、堀口明洋　ほか
音楽: 岩本正樹

テーマソング

主題歌: mink「Bamboleo」（ジプシー・キングスのカバー）
挿入歌:mink「Why don't you」

その他

当初、物語の軸となる予定だった槙の兄の事件と迫田の転落事件を追う刑事役の俳優が降板したため、脚本が一部変更されたと推測されている。そのため、当初のサスペンスや心理劇という触れ込みとは異なり、ラブストーリー色が強い作品となっている。主題歌の「Bamboleo」は、当初スペイン語バージョンが使用されていたが、後に日本語バージョンに変更された。劇中に登場する島は御蔵島がモデルだが、実際に撮影は行われていない。

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