釧路フィッシャーマンズワーフMOO

釧路フィッシャーマンズワーフMOO：再生への道のり

1989年、北海道釧路市に誕生した「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」。建築家・毛綱毅曠氏設計によるこの複合商業施設は、商業施設MOOと植物園EGGから構成され、当初は西武百貨店の参入により賑わいを見せていました。しかし、バブル崩壊後の厳しい経済状況の中で、西武百貨店は撤退。MOOはテナントの相次ぐ撤退に見舞われ、一時、公共施設と地場系店舗のみが残る状態となりました。

開発から苦境へ

MOO誕生以前、釧路市では1968年に釧路河畔開発公社が設立され、ショッピングモールの建設構想が持ち上がっていました。釧路青年会議所や商工会議所、市役所などによる検討を経て、1985年には「新釧路総合計画」としてフィッシャーマンズワーフ構想が策定され、その中核施設としてMOOが位置づけられました。

1988年には西武百貨店の参画が決定し、公社資本金は増資。1989年7月、民活法適用第一号としてMOOは開業しました。当初は賑わいを見せていたMOOでしたが、バブル経済崩壊後、次第に売上が減少。西武百貨店は撤退し、多くのテナントも相次いで店を閉じました。

再生への試み

空洞化が進むMOOに対し、釧路市は再生に向けた様々な取り組みを開始しました。ハローワークや市役所の一部部署をMOOに移転させる「MOO内庁舎」計画や、小規模テナント向けの屋台街の開設などが行われ、施設の活性化が図られました。

さらに、釧路河畔開発公社の債務整理や、MOO施設の市への買収を経て、釧路市はMOOの運営を主導。フィットネスセンター跡地への多目的アリーナ設置、観光交流コーナーの開設など、新たな機能の導入も進められました。

地域に根ざした取り組み

MOOは単なる商業施設にとどまらず、地域社会に貢献する様々な機能を備えています。ジョブカフェ釧路の開設、サンマ実験水槽の一般公開、地域連携カードの発行など、雇用促進や地域産業の振興にも貢献しています。

また、幣舞橋に程近い立地から、NHKやSTVのお天気カメラが設置され、北海道ローカルの情報番組で頻繁にMOOの映像が流されています。残念ながら、道東地方で地震が発生した場合には、災害報道の映像として全国ニュースでMOOの姿が映し出されることも多くなっています。

現在

現在、MOOは100%のテナント入居率を達成し、多様なテナントが営業を展開しています。飲食店や物販店、公共施設などが集積し、釧路市民の生活に密着した複合施設として機能しています。MOOは、バブル崩壊後の苦境を乗り越え、地域と連携した再生を果たした成功事例と言えるでしょう。しかし、今後の経済情勢や人口減少などの課題は残っており、継続的な取り組みが必要となります。

MOOの施設概要

MOOは地上5階建ての建物で、1階から5階まで吹き抜け構造になっています。主なテナントは以下の通りです。

1階: 釧路MOO市場、アウトドアショップ、郵便局、飲食店など
2階: 港の屋台、観光交流コーナー、ジョブカフェ釧路、ハローワークプラザなど
3階: 飲食店、釧路市男女平等参加センターなど
4階: 釧路市教育委員会など
5階: 釧路医師会健診センター、多目的アリーナなど

また、MOOに隣接して全天候型屋内植物園EGGも存在し、ストリートスポーツパークなどの屋外施設と一体となって、多様なレクリエーションを提供しています。MOOは、今後も釧路市の地域活性化の中心的な役割を担っていくことが期待されます。

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