鈴木裕之

鈴木 裕之（すずき ひろゆき、1989年6月23日生まれ）は、日本のヨーヨー界を代表するプロフェッショナルです。競技ヨーヨー選手として輝かしい成績を収める傍ら、独創的なパフォーマンスで観客を魅了するパフォーマーとしても活動しています。

競技者としての軌跡

愛知県で育った鈴木氏は、小学校2年生の時にヨーヨーと出会い、その才能を開花させます。小学校6年生で初めて世界大会に挑戦。この時、BGMに「ミッキーマウスマーチ」を使用した演技が海外のファンに強い印象を残し、「ミッキー」という愛称で親しまれるようになります。中学1年で臨んだ2002年の世界大会で2位に入賞したことを機に、アメリカの大手ヨーヨーメーカーであるYoYoJam社とのスポンサー契約を締結。これにより、競技生活はさらに本格化します。

翌年には全国大会とアジア大会で初めての優勝を飾ると、2004年にはついに世界大会で頂点に立ち、アジア大会、全国大会でも連覇を達成。高校時代も活躍を続け、2005年には再び世界大会1A部門を制覇します。この年の世界大会でのフリースタイル演技は、YouTubeに「Yo-yo God」というタイトルで投稿され、440万回を超える再生数を記録。ヨーヨー関連の動画としては当時最大級の視聴数となり、彼の名をさらに広く知らしめることになりました。

彼は特に競技人口が多いとされる1A部門において、世界大会で4度、アジア大会で7度、全国大会で6度もの優勝を果たすなど、前人未到の記録を次々と打ち立てています。2004年以降は、香港、台湾、中国、メキシコ、シンガポール、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア、ドイツ、アメリカなど、世界各地の大会でパフォーマンスを披露したり、審査員を務めたりするなど、国際的な活動も精力的に行っています。

プレイスタイルと影響

鈴木氏の魅力は、その圧倒的な技術力に加え、独自のセンスと表現力にあります。流れるような動きとダイナミックなトリックの組み合わせは、ヨーヨーの既成概念を覆すものでした。彼のパフォーマンスは多くのヨーヨープレイヤーに影響を与え、新しいスタイルを生み出すきっかけとなっています。

学びとギネス記録

海外での活動を通じて語学の重要性を痛感した鈴木氏は、愛知淑徳大学コミュニケーション学部言語コミュニケーション学科に、ヨーヨーの実績が評価される一芸入試で合格。大学では英語を専攻し、英語や中国語など複数言語に堪能となりました。

また、彼はヨーヨーに関するギネス世界記録保持者でもあります。「イーライ・ホップ（ヨーヨーを跳ね上げる技）」を30秒間に何回行えるかという記録挑戦では、2007年に中国のテレビ番組で当時の世界記録である62回を達成。さらに2009年には日本のテレビ番組で71回を記録し、自身の記録を大きく更新しました。この時に使用したヨーヨーは、彼自身のシグネチャ・モデルである「PHENOM」でした。

現在の活動とビジネス

現在は、自身が立ち上げた競技ヨーヨーブランド「sOMEThING」および新ブランド「FRESHTHINGS」の経営に注力しています。「FRESHTHINGS」では、フラグメントデザインやA BATHING APEといった世界的なファッションブランド、さらにはルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドともコラボレーションを行うなど、ヨーヨー業界の枠を超えた活動を展開しています。自らがデザインしたヨーヨーも多数発売されており、ファンから高い支持を得ています。

エピソード

幼少期には縄跳びも行っていましたが、妹の鈴木めぐみ氏（後に縄跳びでギネス記録を樹立）に勝てなかったことから、ヨーヨーに専念することを決意したという逸話があります。また、自宅には幼い頃から集め続けたヨーヨーが約2000個もあるそうです。音楽面ではm-floのVERBAL氏を尊敬しており、m-floが競技用に編集したオリジナル楽曲を大会でのBGMに使用し、優勝を飾った経験もあります。

メディアへの露出も多く、『うたばん』『27時間テレビ』『アッコにおまかせ!』など、多数のテレビ番組に出演し、その妙技を披露してきました。

鈴木裕之氏は、競技、パフォーマンス、ビジネス、そして文化的な側面からも、日本のヨーヨーシーンにおける最重要人物の一人と言えるでしょう。

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