鎌田共済会郷土博物館

鎌田共済会郷土博物館：歴史と文化が息づく香川の宝

概要

香川県坂出市に位置する鎌田共済会郷土博物館は、登録博物館として地域の歴史と文化を伝える重要な役割を担っています。実業家であり貴族院議員でもあった鎌田勝太郎氏が大正7年（1918年）に設立した鎌田共済会の施設の一つとして、慈善、育英、社会教育を目的として誕生しました。近世から近代にかけての香川県に関する歴史資料を豊富に収蔵し、その展示、調査、研究を通して地域社会への貢献を続けています。

歴史

鎌田共済会郷土博物館は、大正7年の鎌田共済会設立から数年後の大正11年（1922年）に、現在の建物が鎌田共済会図書館として建設されました。その後、昭和26年から昭和54年までは坂出市立図書館として利用され、平成10年（1998年）には「鎌田共済会郷土博物館（旧図書館）」として国の登録有形文化財に指定されています。JR予讃線の高架化事業に伴い、一度建物を取り壊したのち、現在の場所に再建されました。初代主事は郷土史家の岡田唯吉氏が務めました。

収集と展示

博物館は、香川県にゆかりのある歴史資料を10,000点以上所蔵しています。近世から近代にかけての書画、写真、考古学資料、そして鉱石標本など、多様な資料を通して香川の歴史と文化を多角的に捉えることができます。特に、江戸時代後期に高松藩に仕えた洋学者・発明家である久米通賢に関する資料1,061点は、その学問的価値の高さが認められ、平成26年（2014年）に国の重要文化財に指定されています。これらの資料は、博物館の貴重なコレクションとして、研究者や一般来館者にとって貴重な学習機会を提供しています。

建築概要

博物館の建物は、大正11年（1922年）に鉄筋コンクリート造の地上3階建てとして建設されました。建築面積は446.31平方メートル、延床面積は634.58平方メートルです。登録有形文化財に登録されている歴史的建造物としても注目に値します。

利用案内

開館時間は午前9時30分から午後4時30分まで（入館は午後4時まで）です。休館日は月曜日、祝祭日、夏季休暇（8月13日から15日）、年末年始（12月29日から1月4日）です。入館料は無料です。JR予讃線坂出駅から徒歩5分というアクセス抜群の立地も魅力です。

周辺情報

博物館の周辺には、香風園や鎌田醤油本社などがあります。これらの施設とともに、坂出市の歴史と文化を体感できるエリアとなっています。

『海辺のカフカ』との関係

村上春樹の小説『海辺のカフカ』に登場する「甲村記念図書館」が、鎌田共済会郷土博物館をモデルにしたという説があります。小説の中の図書館は造り酒屋が運営する設定ですが、博物館も醤油醸造家である鎌田勝太郎氏が設立した財団が運営している点など、共通点が多く見られます。しかしながら、村上氏自身は「甲村記念図書館は実在しない」と述べているため、あくまで解釈の一つとして捉えるべきでしょう。それでも、この説は博物館への関心を高める一因となっています。

まとめ

鎌田共済会郷土博物館は、単なる博物館としてだけでなく、地域の歴史と文化を伝える拠点として、そして人々の学びと交流の場として、重要な役割を果たしています。貴重な資料と歴史的建造物、そして小説との意外な繋がりなど、多くの魅力を持つこの博物館は、香川県を訪れる際にはぜひ訪れてみたい場所の一つです。

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