長崎県亜熱帯植物園

長崎県亜熱帯植物園：南国の楽園の終焉

長崎県亜熱帯植物園、通称「サザンパーク野母崎」は、長崎市の南端、野母崎に位置する県立の植物園でした。1969年に開園し、最盛期には年間12万人もの来園者で賑わいましたが、2017年、その歴史に幕を閉じました。ここでは、その詳細な歴史、施設の魅力、そして閉園に至るまでの経緯を詳しくご紹介します。

亜熱帯植物の楽園

長崎県亜熱帯植物園は、対馬暖流の影響を受ける温暖な気候を利用し、亜熱帯植物の生育に適した環境にありました。32.5ヘクタール（東京ドーム約7個分）の広大な敷地には、1200種類、45,000本もの亜熱帯植物が植栽され、訪れる人々を魅了しました。

園内には、カスケード、大温室、ハイビスカス温室、フラワーガーデン温室、シダ園など、多様な植物を楽しむことができる施設がありました。また、子どもたちが自然の中で遊べる冒険広場や、ビジターセンター、お土産店、展望レストランなども併設されており、一日中楽しめるスポットとして人気を集めていました。

閉園への道

開園から長年、多くの人々に愛されてきた植物園ですが、1991年以降、台風や集中豪雨による地すべりが度々発生し、大きな問題となっていました。地すべりの被害は年々深刻化し、入園者の安全確保が困難な状況となりました。2015年には、地すべり防止工事の費用が概算で約31億円、長期的な安全対策にはさらに倍の費用が必要になることが判明しました。しかし、その財源の確保が難しく、2016年6月、長崎県議会は植物園の営業停止を決定しました。そして、2017年3月31日、47年の歴史に幕を閉じました。

閉園後の課題

閉園後、長崎県は植物園の維持管理を続けながら、園内の植物の引き取り先を探しています。しかし、県有財産に関する条例により、民間や個人への無償譲渡が難しく、移譲先の選定は難航しています。2018年11月末時点で、45,000本の植物のうち、引き取り先が決まったのはわずか2,600本に過ぎません。園内には、日本最大級のジェードバインや希少種も多く残されており、今後の植物の行方が懸念されています。2020年度には園内の解体作業が始まる予定であり、県は2019年度をもって引き取り先探しも終了する予定です。

沿革

1963年：長崎県亜熱帯植物苗ほ園設立
1969年6月：長崎県亜熱帯植物園開園
2017年3月31日：閉園

施設情報（閉園時）

開園時間：午前9時 - 午後5時（最終入園午後4時30分）
展望レストラン：平日午前11時から午後3時、土日祝日午前10時から午後4時
休園日：毎月第3水曜日（祝日の場合は開園、翌日が休園）、12月30日 - 1月1日
入園料：大人300円、小・中・高校生150円（長崎県内在住者は無料）、幼児以下無料

アクセス

バス：長崎バス「植物園」バス停下車（30番バス）
道路：長崎県道34号野母崎宿線

関連情報

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* 長崎県亜熱帯植物園 - ウェイバックマシン

長崎県亜熱帯植物園は、その美しい姿を閉じた今も、多くの人々の記憶の中に生き続けています。

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