長崎県立長崎図書館

長崎県立長崎図書館：歴史と変遷

長崎県立長崎図書館は、1912年（明治45年）6月1日、長崎市新橋町に創立されました。その起源は、1894年（明治27年）に設立された長崎文庫や、1909年（明治42年）に設立された長崎県回覧文庫に遡ります。当初は2400冊の蔵書でスタートし、月平均239名の利用者がありました。

1915年（大正4年）11月、現在の長崎市上西山町に移転、開館しました。これは、大正天皇即位を記念したもので、諏訪公園の交親館を改修したものです。この際に、長崎文庫の図書も寄贈されました。しかし、第二次世界大戦中の1944年（昭和19年）、本館庁舎は軍部によって接収され、書庫のみで閲覧業務を続けることになります。1945年（昭和20年）の原爆投下では、本館庁舎西側が被災するも、書庫は残存し、戦後、閲覧業務を再開しました。

1960年（昭和35年）、長崎国際文化センター建設事業の一環として、鉄骨鉄筋コンクリート3階建ての新館が完成し、開館しました。この新館には4層の書庫も備えられていました。この頃から、図書館バスによる県内巡回や自動車文庫による移動図書館サービスも開始されています。また、離島への分館設置も進められ、1968年（昭和43年）には28か所の分館が設置されるに至りました。1973年には全館冷暖房を完備するなど、サービスの充実を図ってきました。

その後も、蔵書数の増加やコンピューターシステムの導入、学校週5日制への対応など、時代に合わせて図書館の運営方法やサービス内容を改善し続けてきました。1999年には自動車文庫と分館を廃止するなど、時代のニーズに合わせた変化も経験しています。2000年代に入ると、インターネットによる蔵書検索サービスの開始、施設内全面禁煙化、祝日開館の完全実施など、現代的な図書館サービスの提供を目指した取り組みが続けられました。

しかし、老朽化と蔵書収納スペースの不足という課題を抱えるようになり、2018年12月1日、大村市への移転のため休館しました。

長崎県立長崎図書館：新たな拠点へ

老朽化と蔵書収納スペースの不足を解消するため、長崎県は県立図書館の移転を決定しました。2019年10月5日、大村市に「ミライon図書館（長崎県立・市立一体型図書館施設）」が開館しました。これは、大村市立図書館との合築によるものです。一方、歴史的に貴重な史料については、長崎市の旧図書館跡地に「長崎県立長崎図書館郷土資料センター」が2022年3月27日に開館しました。

ミライon図書館は、現代的な設備と広々とした空間を備え、快適な読書環境を提供しています。一方、郷土資料センターは、長崎の歴史と文化を伝える貴重な資料を収蔵・展示し、研究者や地域住民に開かれた施設となっています。郷土資料センターでは、ミライon図書館の資料を取り寄せるサービスも行われています。

これらの新施設は、従来の長崎県立長崎図書館の機能を継承しつつ、現代的なニーズに対応した図書館サービスを提供しています。長崎県立長崎図書館は、その歴史を刻みながら、新たな時代に向けて進化を続けています。

長崎県立長崎図書館郷土資料センターの概要

所在地: 長崎市上西山町
開館時間: 10時～18時
休館日: 毎週月曜日（月曜祝日の場合は開館、翌日休館）、年末年始、蔵書整理日（毎月末日）、特別整理期間（年1回）
アクセス: 長崎電気軌道「桜町電停」徒歩7分、長崎県営バス「桜町公園前」「長崎歴史文化博物館」バス停から徒歩圏内

センター内には、長崎県公文書コーナーも設置され、郷土資料の閲覧、貸出、レファレンスサービスなど、充実したサービスを提供しています。1階には郷土資料展示スペース、閲覧室、集会・研修室があり、2階には書庫があります。

まとめ

長崎県立長崎図書館は、100年以上の歴史を持つ図書館です。その間、幾多の困難を乗り越え、常に地域社会のニーズに応えるべく進化を遂げてきました。現在の大村市と長崎市にある2つの施設は、その歴史と伝統を受け継ぎながら、未来に向けた新たな一歩を踏み出していると言えるでしょう。

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