防火戸

防火戸について

防火戸は建築基準法における防火設備の一つであり、火災の際に火炎の侵入を阻止するために設計されています。一般的には「防火扉」とも呼ばれ、シャッター形式のものは「防火シャッター」と称されますが、これらは法律上、総称して防火戸とされています。通常は人が通行できるようになっており、火災発生時には安全を確保する役割を果たします。

種類と性能

防火戸は主に二種類に分かれます。それぞれ異なる基準や性能要求が設けられています。

防火設備としての防火戸

このタイプは従来「乙種防火戸」と呼ばれ、一般に火災時に火炎を遮る性能が求められます。主に外壁に設置され、隣の建物からの延焼を防ぐ役割を担います。自動閉鎖機能はなく、火炎が当たっても燃えたり溶けたりしません。一般的には網入りガラスの金属サッシが該当し、火炎の侵入を防ぐことが期待されますが、防犯性能は期待できないとされています。

特定防火設備としての防火戸

一般的に防火戸や防火扉と認識されるものは、「甲種防火戸」として知られる特定防火設備です。これには、火炎が貫通しない構造が求められており、1時間以上の耐火性能を有することが基準です。構造上、閉鎖が確実に行われるように設計されています。特に二つの方式が存在し、

• - 常時閉鎖型防火戸: 使用者が開けていない限り常に閉じられているもので、簡単な構造が特徴です。
• - 随時閉鎖型防火戸: 火災を感知すると自動的に閉じるもので、用途に応じた安全設計がされています。

防炎性能と防煙性能

防火戸の性能には、防火に関わる防炎性能と煙の侵入を防ぐ防煙性能が存在します。この二つは異なるものであり、防火戸には通常防煙性能が求められていませんが、一部の防火戸ではこの性能が備わることがあります。特に随時閉鎖型の防火戸がその傾向が強いです。

くぐり戸の意義

避難経路上に随時閉鎖型防火戸が設置されている場合、閉まった状態でも避難できる道が確保される必要があります。大きなスイング式の防火戸は自力で開けられるため、その役割を果たしますが、荷物を持っている時などには不便があります。そこで、くぐり戸が設けられることが一般的です。くぐり戸は、さらに避難をスムーズにするための重要な構造です。

使用時の注意

防火戸は火災時の被害を最小限に抑え、避難経路を確保するために非常に重要な存在です。しかし、適切に機能しないようなこと（例えば、閉めるべきところを開けたままにすること）があれば、重大な危険となります。特に随時閉鎖型防火戸は、定期的な点検が法で義務付けられており、それを怠ることは非常に危険です。

防火シャッターの事故

防火戸の重要性は「閉じる」ことにありますが、同時に挟まれ事故を避ける必要があります。特に防火シャッターは事故を引き起こす原因となったケースが多く、特に過去には重大な事故が起きました。これらの事故を防ぐため、すでに設置されている防火シャッターにも新たな安全基準が求められるようになりました。

このように、防火戸は火災時の防護を目的とした重要設備であり、適切な運用と定期的な点検がその役割を果たすために欠かせません。

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