阿蘇大橋

阿蘇大橋の概要

阿蘇大橋は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野と河陽を結ぶ国道325号に架かっていた橋で、通称「赤橋」として親しまれていました。しかし、2016年の熊本地震により落橋し、2021年に新阿蘇大橋として再建されました。

歴史

初代の阿蘇大橋

初代の阿蘇大橋は、国道57号から南郷谷へ至る国道325号バイパスの一部として、1967年4月に着工し、1970年12月に完成しました。橋長は205.96メートル、幅員は8メートル、谷底からの高さは76メートルでした。総工費は3億1,300万円で、1986年には1日平均約6,000台が利用していました。当初はオレンジ色に塗装されていましたが、1994年に景観調和と自殺防止対策として灰色に塗り替えられました。しかし、地元では「赤橋」の通称で呼ばれていました。

自殺防止対策

開通後、阿蘇大橋からの投身自殺が相次いだため、熊本県は1990年に橋の両端に柵を設置し、2002年には忍び返し付きのフェンスを設置しました。また、1994年には橋の塗装を灰色に変更しました。これらの対策により、2002年以降の投身自殺は大幅に減少しました。地元の消防には、投身自殺者の捜索・救助のための救助工作車が配備され、橋のたもとには「まてまて地蔵」が設置されています。

改良工事

2009年度からは、渋滞対策として阿蘇大橋を拡幅し、国道57号への右折車線を延長する改良工事が実施され、2015年4月3日に供用が開始されました。

熊本地震による崩落

2016年4月16日未明、熊本地震の本震により阿蘇大橋は完全に崩落しました。地震発生時、橋を通行していた大学生が車ごと崩落に巻き込まれ、後に遺体で発見されました。その後の調査で、地震により橋脚を支える地盤が大きくずれ、橋のアーチ部が破壊されたことが崩落の原因と判明しました。崩落した橋桁は震災遺構として保存される予定です。

新阿蘇大橋の復旧

橋の再建は、国が事業費の大半を負担することになりました。当初、同じ場所での再建は困難とされましたが、国土交通省は元の場所から600メートル下流に橋を架け直すことを決定し、橋梁形式を「PC3径間連続ラーメン箱桁橋」としました。新橋の橋長は345メートル、最大支間長は165メートルで、下部構造は逆T型橋台とRC中空橋脚、張り出し式橋脚で構成されています。2017年4月に工事が開始され、2021年3月7日に開通しました。

新橋の構造

新阿蘇大橋は、地震による地盤のずれに対応できる構造を採用しています。活断層の推定位置の桁を連続桁ではなく単純桁とし、橋脚との接合部の強度を弱めて、ずれが発生した場合に接合部が外れるように設計されています。これにより、橋桁が橋脚上で受け止められるようになっています。

年表

1970年12月 - 阿蘇大橋竣工
1971年 - 阿蘇大橋開通
1990年 - 橋の両端に柵を設置
1994年 - 橋の塗装を灰色に塗り替え
2002年 - 高さ約2メートルのフェンスを設置
2015年4月3日 - 改良工事完了
2016年4月16日 - 熊本地震により崩落
2016年11月 - 新橋の事業着手
2021年2月2日 - 新橋の名称が「新阿蘇大橋」に決定
2021年3月7日 - 新阿蘇大橋が開通

諸元

崩落した阿蘇大橋

橋格：一等橋（TL-20）
橋長：205.9メートル
主径間：132.2メートル
総幅員：8.8メートル
有効幅員：8.0メートル（車道6.5メートル、歩道0.75メートル×2）
車線数：2車線
形式：上路式トラスド逆ランガー桁橋
施工会社：石川島播磨重工（現・IHI）
着工：1969年9月
竣工：1970年12月

再建された新阿蘇大橋

橋種：PC3径間連続ラーメン箱桁橋+鋼単純箱桁橋+鋼3径間連続鈑桁橋
橋長：525.0メートル（鋼3径間連続鈑桁部115.0メートル+単純箱桁部65.0メートル+ラーメン箱桁橋部345.0メートル）
主径間径間割：80.0メートル+165.0メートル+100.0メートル
下部構造：逆T型橋台、RC中空橋脚、張り出し式橋脚
施工会社：大成建設・IHIインフラ建設・八方建設JV
着工：2016年11月
開通：2021年3月7日

近隣の施設

数鹿流ヶ滝
阿蘇東急ゴルフクラブ
東海大学阿蘇キャンパス
京都大学火山研究センター

現存する記録映像

稲川淳二 恐怖の現場シリーズ
* 北野誠のおまえら行くな。



阿蘇大橋は、その美しい姿と、悲しい歴史を背負いながら、新阿蘇大橋として生まれ変わりました。この橋は、地域の復興の象徴として、これからも多くの人々に利用されることでしょう。

もう一度検索