難民探偵

難民探偵

『難民探偵』は、西尾維新が手がけたミステリー小説です。講談社創業100周年を記念した企画「書き下ろし100冊」の1冊として、2009年12月に刊行されました。西尾維新作品としては珍しく、ハードカバー装丁で、挿絵やあとがきは含まれていません。

あらすじ

物語の主人公は、就職活動に失敗し浪人生活を送る窓居証子。ひょんなことから、人気作家である叔父・窓居京樹の家に居候することになります。ある日、京樹の電話番をしていた証子は、警察から連絡を受けます。それは、ある人物の身元引受人として京樹が呼ばれているというものでした。代理として警察署へ向かった証子は、そこで「難民探偵」の異名を持つ、ネットカフェ住人の根深陽義と出会います。この出会いをきっかけに、証子は京樹のアシスタントとして、そして根深の助手として、京都で発生した殺人事件の調査に携わることになります。

主な登場人物

登場人物たちの名前は、傷害事件に関連する用語にちなんでいるという特徴があります。

窓居証子（マドイ ショウコ）：物語の語り手。24歳、女性。就職浪人中。京樹の姪。
就職活動がうまくいかず、叔父である京樹の家に居候することになりました。京樹の作家アシスタントと、根深の助手として、事件の調査に協力します。京樹のことは「叔父様」と呼び、京樹と根深からは「証子ちゃん」と呼ばれています。偽名として「八頭司」を使用することもあります。
窓居京樹（マドイ キョウキ）：33歳、男性。人気ミステリー作家。証子の叔父。
累計5000万部を突破した人気作家。変人として知られていますが、慈善活動にも熱心です。根深とは友人関係を自称していますが、似たもの同士で気が合います。携帯電話が苦手なため、電話番を証子に任せています。
根深陽義（ネブカ ヨウギ）：37歳、男性。「難民探偵」と呼ばれる男。京樹の友人（自称）。
ネットカフェを拠点に生活する元警視庁の警視。警察官にあるまじき調査を行うことから「探偵」と呼ばれています。妻と子供がいますが、離婚手続きは済んでいません。警視総監の命令で、京都の殺人事件の調査に渋々参加することになります。
真田道規（サナダ ドウキ）：男性。警視総監。根深の元上司。
冴えない外見の小男ですが、警察内での人脈を駆使して根深を本庁に戻そうと画策しています。根深曰く「蛇のようにしつこく、阿修羅のように手回しがいい」人物です。史上最年少で警視総監に就任した、警察庁始まって以来の風雲児と呼ばれています。
渋村（シブムラ）：京都府警の刑事。
真田の根深を連れ戻そうとする計画に巻き込まれ、苦労している様子が描かれています。
焙煎岳夫（バイセン ガクオ）：大手出版社・泰志書房の専務。今回の事件の被害者。
生前は社員から恨まれていました。根深が泊まっていたネットカフェの隣室で殺害されました。
樫村要士（カシムラ ヨウシ）：焙煎の秘書。
焙煎の采配の被害者で、彼を激しく憎んでいます。
山名票真（ヤマナ ヒョウマ）：焙煎の元パートナー。
焙煎のリストラによって職を失ったが、焙煎に対して尊敬の念を抱いています。

外部リンク

* 『難民探偵』西尾維新｜講談社ノベルス

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