難燃剤

難燃剤とは

難燃剤（なんねんざい、英語: flame retardant）とは、プラスチックやゴム、繊維、紙、木材などの可燃性素材に添加することで、これらの燃焼を防いだり炎の広がりを抑える目的で使用される化学物質です。これにより、安全に使用することができる製品が増えています。

歴史

難燃剤の歴史は古く、紀元前450年頃のエジプトでは木材にミョウバンを使用して火災を防ぐ試みが行われていました。古代ローマ時代には、ミョウバンと酢の混合物が用いられていました。現在、難燃剤として認められている化学物質は175種類以上におよび、それらは大きく4つのタイプに分類されます。無機系難燃剤、臭素系や塩素系などのハロゲン化有機系難燃剤、有機リン系難燃剤、窒素系難燃剤がそれに該当します。これらの難燃剤の生産量は、無機系が50%、ハロゲン系が25%、有機リン系が20%、窒素系が5%とされています。

用途

難燃剤は、電気製品や建材、家庭用品など、特に火災のリスクが存在する素材に用いられます。安全な生活を送るためには、こうした素材を燃えにくくし、煙や有害物質の発生を抑えることが重要です。例えば、プラスチックやゴムなどの素材には練り込む形で、繊維や紙には表面に塗布する方式が一般的です。難燃剤を加えても完全に燃えないわけではなく、高温にさらされると一時的に燃えることがありますが、炎が離れると自己消火する性質を持っています。また、難燃剤の効果を強化するために、他の難燃剤と組み合わせて使用する場合もあります。

原理

高分子有機材料の燃焼は、可燃性ガスの燃焼から始まり、燃焼による輻射熱の発生、有機材料中への熱伝導、熱分解による可燃性ガスの生成、ガスの拡散といったサイクルを繰り返しています。難燃剤はこのサイクルのいずれかの段階に影響を与えることで、燃焼を抑制します。

種類

現在、主に次のようなタイプの難燃剤が使用されています。

• - 有機系難燃剤: 特に臭素系が多く使用されており、難燃効率の高いものが多いですが、有害性も指摘されています。
• - リン化合物: 燃えにくさを強化するために用いられます。
• - 塩素化合物: 硬いが毒性が高いため、近年では使用が控えられています。
• - 無機系難燃剤: 三酸化アンチモンや金属水酸化物が含まれます。
• - 窒素化合物やホウ素化合物: これらも用途に応じて使用されています。

製造者

日本国内には多くの難燃剤を製造する企業があります。代表的な企業には、「ADEKA」や「味の素ファインテクノ」、また「帝人」などがあり、さまざまな難燃剤の開発・販売を行っています。海外には「アルベマール」や「ケムチュラ」などがあり、幅広い種類の難燃剤を市場に提供しています。

まとめ

難燃剤は火災リスクを低減させるために不可欠な薬剤です。歴史的な経緯を経て、今では多様な種類が存在し、それぞれに特性があります。今後も技術の進歩とともに、より安全で環境に配慮した難燃剤の開発が期待されています。

もう一度検索