電光

電光（でんこう）

概要

電光は、大日本帝国海軍が手掛けた夜間戦闘機であり、機体略号は「S1A1」です。1943年、太平洋戦争の激化を受けて、当時の夜間戦闘機「月光」の後継機として製作が決定されました。この機体は、アメリカのB-29爆撃機に対抗するため、愛知航空機が開発を担当しました。

当初、夜間戦闘機として設計されたのは電光が初めてという点で重要ですが、海軍からの要求は非常に高く、最終的に全備重量は10トンを超える大きな戦闘機となりました。このため、当初設定された性能を達成することが困難となり、増加試作は1944年に中止されることとなりましたが、モックアップは完成していたため、最終的に2機の試作機が製造されることとなりました。

開発背景

アメリカ合衆国が新型爆撃機B-29を完成させたとの情報が広がったことを受けて、海軍は強力な防空戦闘機の必要性を感じ、1943年に対B-29用として夜間戦闘機の開発を決定しました。戦局が厳しい中、特に戦闘機開発の経験が少ない愛知航空機が担当することに決まりました。海軍の要求は極めて過酷で、昼夜を問わず敵機に対処できる性能を求められました。

具体的には、最大速度685キロメートル/h以上、6000メートルまで6分以内の上昇力、5時間の航続距離、400メートルの離陸滑走距離といった数値が求められました。また、武装面でも30ミリ砲、20ミリ砲、そして胴体上部に遠隔操作式の20ミリ砲が設置されることが必要でした。これらは非常に困難な要求でありましたが、愛知航空機は1943年11月から設計に取り組み始め、1944年にはモックアップを完成させました。

設計と技術

デザインは、海軍が求める能力に応じて強化されました。エンジンは中島飛行機製の22型「誉」を2基搭載する計画であり、これには効率を高めるために排気タービンを使用することも視野に入れていました。具体的には、高高度での性能向上策として、液体酸素を用いた特液噴射装置が試験的に装備されることになりました。

しかし、全体的な重量が10トンを突破し、そのために必要な運動性能の確保がほぼ不可能であることが浮き彫りとなり、これにより海軍は増加試作の中止を決定しました。しかしながら、製作中だった試作機2機に関しては、研究目的で製造が続けられることになりました。

設計・製造は進行していましたが、1945年6月に発生した空襲によって、完成間近の1号機が被害を受け焼失。さらに、2号機も同年7月に被害を受け、所有する電光は結局完成に至ることはありませんでした。

要目

• - 全長: 14.25m
• - 全幅: 17.50m
• - 全高: 4.25m
• - 全装備重量: 10,180kg
• - 最高速度: 590km/h（高度8,000m）
• - 上昇限度: 12,000m
• - 航続距離: 1,600km
• - 武装: 20mm機銃×4、30mm機銃×2、60キロ爆弾×4または250キロ爆弾×1

関連項目

• - 戦闘機一覧

このように、電光はその開発過程において数多くの試練に直面しましたが、完成を果たせずに歴史に名を刻むこととなった特異な機体であります。

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