青空教室

青空教室とは

青空教室（あおぞらきょうしつ）は、校舎が焼失した学校が屋外で授業を行う形態や、教室を用意できない場合に単に屋外で行われる授業を指します。特に、第二次世界大戦後の日本では、この現象が顕著に見られました。

歴史的背景

1947年に制定された学校教育法に伴い、日本では小中学校の9年間の義務教育制度がスタートしました。しかし、新制中学校のための校舎整備が進まなかったため、旧高等小学校の校舎を転用したり、授業を頻繁に野外で行う必要が生じました。当時、実際に準備できた校舎は全体のわずか15%でした。このため、生徒の収容過剰や交代制の二部授業が盛んに行われ、青空教室が実施される運びとなったのです。

青空教室は、「青空学級」とも呼ばれ、特に災害後には多くの学校で導入されました。国民学校初等科は法律的に授業が停止されていなかったため、校舎を失っても授業を続けようとする努力が必要でした。鉄筋コンクリート製の校舎が無事だった場合や、他の学校と間借りして授業を受けることができた児童もいましたが、大都市中心部ではそのような場所が非常に少なく、結果的に青空教室の必要性が高まりました。

特に終戦後は、都市部での人口が急増し、教室環境はさらに悪化しました。雨天や悪天候の場合、授業が中止されることもありました。児童が家庭を持たない状況を防ぐため、教育機関や孤児院による支援が重要視され、青空教室でも子供たちに居場所を提供する努力が求められました。

解消策と復旧

青空教室の一時的な解消策としては、従来の間借り授業を強化し、午前・午後の二部制を導入することが各地で実施されました。しかし、根本的な解決には学校自体の復旧が不可欠でした。これに関しては、都市復興事業の一環として政府が取り組みを進め、多くの学校が再建されることによって青空教室は徐々に姿を消していきました。

教育機関での取り組み

興亜工業大学（現・千葉工業大学）では、学校設置当初は建物が未完成だったため、青空教室を利用して英語や音楽、古典、道徳などの教養科目を授業として実施していました。興味深いことに、この青空教室の授業スタイルは、生徒と先生の密接な関係を築くことができ、設立の理念である「師弟同行」に近い形となりました。

在校生たちの回想によると、授業は常に和やかで、「みどりの学園」とも称される環境だったといいます。また、授業の場は学校内だけでなく、神社や寺、河川敷、さらには喫茶店など多岐にわたりました。教育理念に基づき、観光バスを使っての名所見学や、ホテルでのマナー講習など、独自の授業形態も存在しました。このような取り組みは千葉に移転した後も引き継がれ、青空教室が産んだ教育的成果は校史に残るものとなりました。

関連項目

青空市場など、青空教室に類似する現象や場所も存在しますが、これらは教育の場としての意味合いが異なります。青空教室は、焼失した校舎に代わる教育手段として、戦後の日本における独自の歴史を刻んでいるのです。

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