青野慶久

青野 慶久（あおの よしひさ）

青野慶久は、1971年6月26日に愛媛県今治市に生まれた実業家であり、サイボウズ株式会社の代表取締役社長を務めています。彼は、愛媛県立今治西高等学校を経て、大阪大学工学部を卒業後、松下電工（現パナソニック）に入社し、BA・セキュリティシステム事業部営業企画部に関わりました。1997年、同僚の二人と共にサイボウズを愛媛県松山市に設立し、取締役副社長としてマーケティングを担当。その後、彼は「サイボウズ デヂエ」や「サイボウズ ガルーン」などの新商品のプロダクトマネージャーとして活躍し、2005年からサイボウズの社長に就任しました。

戸籍名と夫婦別姓訴訟

青野は婚姻時に妻の姓を選択し、戸籍上の氏は「西端」となりましたが、普段は旧姓である「青野」を使用しています。彼は選択的夫婦別姓制度の導入に賛同し、自身のブログでもこの期待を語っています。特に、公式書類を本名で記載する必要が増えたことなどから誤解を避けるため、戸籍名の併記を始めたと述べています。日本では夫婦別姓が認められていないことに対し、彼は「名字を変えることは大変であり、女性の苦しみを理解できる」と強調しています。

2018年には、日本人同士の結婚において同姓か別姓を選べない現状が「法の下の平等」に反するとして、日本政府を提訴しました。この訴訟は、日本の法律婚をした男性による夫婦別姓訴訟として初の試みでしたが、2021年に敗訴しています。以降、第49回衆議院議員総選挙では、選択的夫婦別姓や同性婚を認めない候補者を落選させる運動にも取り組んでいます。

働き方改革に関する信念

青野は、トップが育児休暇を取得する重要性を説いており、働き方改革の必要性についても自身の考えを示しています。彼は「均一化した、単一的なもの」から「多様な、柔軟性の高いもの」へのシフトを提唱し、働き方改革の本質は価値観の多様性にあると信じています。また、残業時間削減やワークライフバランスの推進についても、男性だけでなく全ての国民が真剣に取り組むべき課題であると述べています。「100人いれば100通りの人事制度があっていい」との彼の言葉からは、個々の働き方を尊重したいという姿勢が垣間見えます。

著書とメディア出演

青野は著作も多く、2007年には『ちょいデキ！』を出版。その後も、働き方に関する書籍や、選択的夫婦別姓についての考察をまとめた書籍を発表しています。特に、2021年に出版した『「選択的」夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし、考えたこと』では、自身が提訴した経緯や考えを詳しく語っています。また2022年には、ジェンダー平等についての本の編者としても貢献しています。

メディアにも積極的に出演しており、テレビ番組やオンラインプラットフォームで働き方や企業経営についての見解を発信しています。2020年には日経スペシャル「カンブリア宮殿」に出演し、サイボウズの取り組みや自身の労働観について話しました。

最後に

青野慶久は、サイボウズを通じて新しい働き方や家族の形を模索し、広く社会にその理念を発信しています。彼の取り組みは、日本における労働環境や制度の変革を目指す重要な活動と言えるでしょう。

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