韓国石油公社

韓国石油公社（KNOC）

韓国石油公社（Korea National Oil Corporation、KNOC）は、大韓民国の国営石油会社であり、エネルギー資源の安定供給を目的として設立されました。本社は蔚山広域市に位置し、産業通商資源部の傘下で、韓国政府が全額出資する公企業です。

歴史

1970年代のオイルショックを契機に、エネルギー資源の確保が急務となり、1979年に韓国石油開発公社（PEDCO）が設立されました。これがKNOCの前身です。1999年には韓国石油公社に改称され、国内外での資源開発を積極的に推進しました。

2000年代以降は、海外での資源探鉱・採掘権益の確保に注力し、2023年時点で国内外に多数の鉱区を保有しています。近年では、石油事業に加え、水素事業にも進出するなど、事業領域を拡大しています。

採掘事業

国内

国内では、1998年に蔚山沖で東海-1ガス田が発見され、2004年から生産を開始しました。その後、東海-2ガス田も発見され、生産が行われましたが、資源の枯渇により2021年末に生産を終了しました。

現在も、新たなエネルギー資源の発見を目指し、国内の海底資源探査を継続しています。

海外

海外では、ベトナムやリビアなどで採掘事業を展開しています。ベトナムでは、11-2鉱区でRong Doiガス田を発見し、2006年から生産を開始しました。リビアでは、アル・フィール油田を発見し、生産を行っています。

また、買収を通じて海外の油田権益を取得しており、2010年にはイギリスのDana Petroleum社を買収し、石油の自主開発比率向上に貢献しました。

備蓄事業

KNOCは、石油の国家備蓄も重要な事業として推進しています。国際エネルギー機関（IEA）への加入要件を満たすため、備蓄量を増やし、2002年にはIEAへの加入が承認されました。現在も、備蓄計画を継続しており、エネルギー安全保障に貢献しています。

その他の事業

KNOCは、石油関連情報の収集・提供も行っています。石油需給統計や韓国月次石油統計を刊行し、国内の石油市場に関する情報を提供しています。また、ガソリン価格情報サイト「Opinet」を運営し、消費者の利便性向上に努めています。

近年では、石油以外のエネルギー事業にも進出しており、洋上風力発電所の建設や、アンモニア燃料のインフラ構築プロジェクトなどを手掛けています。カーボンニュートラルへの取り組みとして、CCSプロジェクトにも参画しています。

まとめ

韓国石油公社は、韓国のエネルギー安全保障を担う重要な役割を果たしています。設立以来、国内外での資源開発、備蓄事業、そして新たなエネルギー事業への挑戦を通じて、その役割を果たし続けています。今後のエネルギー政策において、KNOCがどのような役割を担っていくのか、注目されます。

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