風の王国

風の王国

『風の王国』は、毛利志生子による日本のライトノベル作品です。イラストは増田メグミが担当し、コバルト文庫（集英社）から2004年6月から2013年8月にかけて全27巻が刊行されました。2006年にはドラマCDも発売されています。

あらすじ

物語の主人公は、唐の皇帝・李世民の姪にあたる李翠蘭。商家の娘として育った彼女は、唐と吐蕃の和平のため、皇帝の養女となり文成公主として吐蕃へ嫁ぐことになります。

吐蕃へ向かう道中、翠蘭一行は謎の襲撃を受け、親友の朱瓔が攫われてしまいます。翠蘭は、幼なじみの慧と共に朱瓔を救出するため犯人たちを追跡。その過程で、吐蕃の若き王・リジムと出会い、行動を共にすることになります。

数奇な運命に導かれ、異国の地で生きることを決意した翠蘭。彼女は、吐蕃の文化や人々との交流を通して成長していきます。しかし、王位を巡る陰謀や、故郷である唐との関係など、様々な困難が彼女を待ち受けているのでした。

主な登場人物

李翠蘭（ツァシュー）：本作の主人公。唐の皇帝の姪でありながら、文成公主として吐蕃に嫁ぐことになった女性。男勝りな性格で、剣術にも長けています。リジムとの間に子供をもうけます。
リジム（クンソン・クンツェン）：吐蕃の若き王。翠蘭の夫となる人物。聡明で勇敢であり、民を愛する心を持っています。翠蘭とは深い絆で結ばれますが、遠征中に落馬し亡くなってしまいます。
劉朱瓔：翠蘭の親友であり、侍女として共に吐蕃へやってきます。占いが得意で、足が不自由です。サンボータと婚約します。
トンミ・サンボータ：吐蕃の大臣で、リジムの側近。飄々とした性格の持ち主。吐蕃文字の創造者でもあります。朱瓔と婚約します。
ガル・トンツェン・ユルスン：吐蕃の宰相。リジムの側近。有能ですが、冷徹な一面も持ち合わせています。
ラセル：リジムと先妻ティカルの間に生まれた息子。翠蘭に懐いており、実の母子のような関係を築きます。
イェルカ：翠蘭とリジムの間に生まれた娘。鈴の音のような泣き声を持つことから名付けられました。
尉遅慧：翠蘭の幼なじみで、護衛官として共に吐蕃へやってきます。翠蘭に密かに想いを寄せています。

用語解説

吐蕃：現在のチベットにあたる国。
ツァシュー：リジムの城がある場所で、翠蘭たちが暮らす場所です。
ヤルルン：吐蕃の首都的な存在で、ソンツェン・ガムポの城があります。
掖庭宮：翠蘭が吐蕃降嫁の前に過ごした唐の後宮です。

本シリーズの魅力

『風の王国』は、歴史を背景にした壮大な世界観、魅力的なキャラクター、そして愛と葛藤が織りなすドラマティックな展開が魅力です。翠蘭が異文化の中で成長していく姿や、リジムとの愛、周囲の人々との絆などが丁寧に描かれており、読者の心を掴んで離しません。

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