鬼武者2

『鬼武者2』

作品概要

2002年3月7日、カプコンよりPlayStation 2向けに発売された戦国サバイバルアクションゲームです。剣劇アクションに謎解きや成長要素を融合させた『鬼武者』シリーズの第2弾にあたります。前作から13年後、舞台は幻魔王となった織田信長が支配を広げる戦国時代。主人公は、鬼の血を受け継ぐ柳生一族の若き当主、柳生十兵衛（後の柳生宗厳）です。故郷を焼き払われた悲劇を乗り越え、仲間たちと共に信長討伐の旅に出る壮大な物語が描かれます。テーマソングには布袋寅泰氏の『RUSSIAN ROULETTE』が使用され、初回版特典としてPVが収録されたことも話題となりました。国内外で高い評価を受け、国内110万本、全世界累計販売本数210万本というシリーズ最高のセールスを記録しています。

発売から時を経て、2025年5月23日にはグラフィックを高画質化したリマスター版が、PlayStation 4|PlayStation_4、Nintendo Switch、Xbox One、PC（Steam）向けに登場。オリジナル版の面白さはそのままに、高難易度モード「修羅」やアートワークなどを楽しめるギャラリーモード、オートセーブ機能などが追加され、現代のプレイヤーも楽しめるように進化しています。

システム

本作の主人公・柳生十兵衛は、柳生一族の末裔として生まれながらに鬼の力を宿しており、龍の祠を通じて新たな力を得ます。プレイヤーは「体力」「鬼力」「魂」の値を管理しながらゲームを進めます。攻撃方法は、刀などの武器や蹴りのほか、鬼の力を宿した武器による特殊技「鬼戦術」（鬼力消費）や力を溜めて放つ奥義、そして弓や銃といった補助武器。前作同様、「一閃」「弾き一閃」といった必殺攻撃も重要な要素です。敵を倒すと出現する魂のうち、紫の魂を5つ吸収することで「鬼武者変身」し、一時的な無敵状態となることができます。

成長要素として、赤の魂を消費して武器や防具を強化することが可能。

操作キャラクターは十兵衛を含め5人。共に旅する仲間には、小谷のお邑、風魔小太郎、雑賀孫市、安国寺恵瓊がいます。十兵衛以外は強化や鬼武者変身はできませんが、特定の場面で交代して操作できることがあります。仲間との交流は、アイテムを渡して好感度を上げることで深まり、好感度が高いとボス戦などで援護してくれるようになります。これにより、アイテム収集や資金管理といった要素もゲームプレイに含まれます。仲間キャラクターの設定には、史実や伝説をモチーフにしたユニークなものが含まれます（例：恵瓊は槍の達人として描かれますが、史実では外交僧）。

クリア特典には、『鬼武者3』の次回予告や、故・松田優作氏を操作するユニークなミニゲーム「黒いスーツの男」が収録されています。

ストーリー

前作で左馬介に敗れた幻魔王フォーティンブラスの死後、織田信長が自らの血と幻魔の力で新たな幻魔王となり、天下統一の野望を再燃させます。その手始めに、信長は幻魔軍を率いて浅井長政の小谷城へ侵攻。

1573年、柳生十兵衛は故郷・柳生の庄の壊滅と、自身が鬼族の血を引いている事実を知ります。故郷の仇である信長への復讐と、自身の運命を受け入れた十兵衛は、旅の途中で出会う個性豊かな仲間たちと協力し、幻魔王となった織田信長の打倒を目指す戦いに身を投じるのです。

主要人物

物語を彩る主な登場人物と敵対者：

- 柳生十兵衛: 主人公。モデルは松田優作氏。柳生一族当主に代々受け継がれる幼名を持ち、本作の十兵衛は隻眼ではありません。鬼の力に目覚め、故郷の仇信長を追います。左手の文様で魂を封印。五玉で真鬼武者となり信長を倒します。
- 小谷のお邑: 通称オユウ。正体はお市の方（信長妹）。西洋風装備の女剣士。十兵衛に救われ、共に戦う中で惹かれますが、信長との対立を避けさせようとした十兵衛と別れます。好感度に関わらず操作可能。
- 風魔小太郎: 風魔忍軍若頭。女嫌い。十兵衛、オユウと出会い、最後はオユウを庇って命を落とします。
- 雑賀孫市: 雑賀鉄砲軍団頭領。銃と剣技に優れる合理主義者。好感度で十兵衛に協力し、ギンガムファッツ極を倒して別れます。
- 安国寺恵瓊: 宝蔵院流槍術の僧侶。洞察力に長けます。妻子を失った過去を持ち、一国一城の主を夢見ます。友好度で結末が分岐。
- 高女: 十兵衛の母。鬼の一族。十兵衛の鬼の力を目覚めさせますが、ジュジュドーマに殺されます。霊として十兵衛を見守ります。
- 織田信長: 幻魔王。冷酷で残忍な支配者。黄金魔神像で洗脳を目論むも、真鬼武者十兵衛に敗れます。
- 黄金魔神像: 最終ボス。金と怨念製の洗脳装置。信長魂が宿る戦闘兵器。
- ギンガムファッツ: 高等幻魔。筋肉質の怪力。何度倒されても改造されて復活します。
- ジュジュドーマ: 高等幻魔。狡猾で暴力的な自称美女。信長を慕い、高女を殺害。「和」の玉を持ちます。
- ゴーガンダンテス: 幻魔界最高の剣士。騎士道精神の持ち主。鉄壁の防御を持つ。「礼」の玉を持ちます。三度の戦いを経て十兵衛と奇妙な友情が芽生えます。
- 木下藤吉郎: 出世した姿で登場。十兵衛らの前に立ち塞がり、鬼玄武強奪を図ります。

開発と評価

本作は前作開発中から並行して進められました。特に話題となったのは、主人公・柳生十兵衛のモデルに、故・松田優作氏が起用されたこと。遺族の協力のもと、彼の持つ圧倒的な存在感がゲーム内に再現されました。グラフィックはプリレンダリング背景と進化したCGを組み合わせ、合戦シーンなどでの臨場感が向上。キャラクターデザインは雨宮慶太氏が担当し、戦国時代のイメージに独自の色彩感覚を融合。音楽は岩代太郎氏らが手掛け、キャラクターごとのテーマ曲を軸に構成されました。シナリオは杉村升氏らが担当し、サブキャラクターのドラマ性を重視した展開となっています。

これらの取り組みの結果、本作は第6回CESA GAME AWARDSの優秀賞を受賞するなど、高い評価を獲得しました。