鹿児島大学教育学部附属中学校

鹿児島大学教育学部附属中学校は、鹿児島県鹿児島市郡元に位置する国立の中学校です。鹿児島大学教育学部の附属学校として、教育研究の一端を担いつつ、独自の教育活動を展開しています。

教育理念と校風

本校は、先輩から受け継がれる伝統を大切にする校風が根付いています。特に合唱活動に力を入れており、各クラスではパートリーダーを中心とした日常的な練習が行われています。朝や帰りの会ではクラス合唱が響き渡り、文化祭では学年全体での合唱やクラスごとの合唱が披露されます。また、卒業式で在校生から卒業生へ歌い継がれる「タンホイザー行進曲」は、学校にとって特別な歌として大切にされています。

学校が目指す生徒像は、「ゆたかな心をはぐくむ生徒」「たくましい体をつくる生徒」「確かな学力を身に付ける生徒」「自分のよさを発揮する生徒」の四つです。校訓には、「真理」「理想」「剛健」「友愛」「誠実」「自立」「雄飛」の七つが掲げられており、これは校舎前面に植えられた七本の銀杏の木にそれぞれ名付けられています。校章は、「中」の文字の上に「附」を重ねたデザインです。校歌は作詞が脇太一、作曲が柳沢浩によるもので、三番まであり、各番に「鹿大附属中」の名が登場します。

学校生活

生徒数は各学年5クラス編成で、1クラスは男子18名、女子18名の計36名、1学年は180名です（うち附属小学校からの内部進学者が約半数）。全校生徒数は約540名となっています。

学校生活のユニークな特色として、「きょうだい学級」制度があります。これは、学年を越えたクラス（例: 1年1組、2年1組、3年1組が青組きょうだい学級）で様々な活動を協力して行うものです。クラスごとに青、赤、黄、緑、白のテーマカラーがあり、運動会などの行事で一体感を高めます。この名称は、ジェンダーに配慮して平成28年度に「兄弟学級」から変更されました。

また、本校ではノーチャイム制を採用しており、授業の開始や終了を知らせるチャイムは鳴りません。生徒は自ら時計を見て行動することが求められますが、掃除の開始・終了時には放送による合図があります。

学習・生活指導においては、教育効率化のため2学期制が導入されています。生徒の身なりに関する指導も行われ、頭髪や装飾品について検査が実施されることがあります。年に数回、『附中生活確立週間』が設けられ、学習習慣や生活習慣の定着、授業への取り組み方などが重点的に指導されます。

校内にはサイレントゾーンが設けられており、来客や会議、保健室利用者などに配慮し、静穏を保つよう生徒に意識づけられています。また、授業前には「3分前入室、2分前着席、1分前黙想」を徹底し、学習への集中を促しています。

中学生の模範となることを目標としているため、公共交通機関でのマナーに関する苦情があった場合、全校生徒や該当生徒を対象とした全体指導が行われることがあります。学校内で発生した規則違反に対して、当事者以外の生徒にもペナルティが課せられる、いわゆる連帯責任が伴う場合もあります。

体育の授業や運動会の準備運動として、オリジナルの「附中体操」が受け継がれています。新入生は入学後に「きょうだい学級」の先輩から教わるなど、伝統とともに引き継がれる体操です。

施設と環境

校舎は四階建て一棟が中心です。教職員には職員室がなく、各教科の研究室に机が配置されています。理科室は二部屋あり、実験内容や学年に応じて使い分けられます。東側増築部分の屋上にはソーラーパネルが設置されており、発電量が表示されています。剣道場や柔道場は校内にないため、授業や部活動で鹿児島大学の施設を利用することがあります。

校舎は2010年に改築され、新しい校舎での教育活動が行われています。2015年には同窓会の寄付により体育館に大型スクリーンが設置されました。2023年には外壁の補修・塗装工事が行われましたが、内部からは外が見える構造は維持されています。

国際交流

2013年には台湾の台北市立大直高級中学と姉妹校提携を結び、交流を行っています。毎年、台北教育大学からの留学生も受け入れています。

沿革

本校は、1947年の学制改革に伴い発足した旧師範学校附属中学校を前身としています。1949年に新制鹿児島大学の発足により鹿児島大学附属中学校となり、1951年に現在の「鹿児島大学教育学部附属中学校」として統合されました。その後、移転や施設改築を経て、現在の場所に校舎が整備されています。

年間行事

年間を通じて様々な行事が行われます。主なものとしては、開校記念日の1日遠足（約20kmを完歩）、クラス設営の創造性を競う設営コンクール、全校生徒と教員が集まる生徒総会、学年を越えたきょうだい学級で競い合う運動会、そして舞台発表や合唱が行われる文化祭があります。運動会では、男子全員による「若き鷹」（棒倒し）や女子全員による「若き花」（ムカデ競走）といった伝統競技が受け継がれています。また、1年生の宿泊学習、2年生の修学旅行、3年生の職場体験学習など、学年に応じた体験学習も実施されています。

生徒会活動・部活動

本校における「生徒会」は全生徒を指し、執行部は「生徒会本部」と呼ばれています。生徒会本部は行事の企画・運営など、活発な活動を展開しています。生徒会本部は、正副生徒会長、正副書記長、正副企画委員長、教養部長、徳育部長、保健体育部長、情報部長で構成され、各役職間に優劣はありません。

部活動は、陸上競技、軟式野球、剣道、卓球、ソフトテニス、バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、バドミントン、サッカーなどの運動部、演劇、吹奏楽、合唱、美術などの文化部があります。その他、水泳、硬式テニスなどの同好会も活動しています。

著名な出身者

本校からは、政治家、実業家、文化人、アスリートなど、様々な分野で活躍する著名な卒業生（一部途中転校者を含む）を輩出しています。代表的な人物に、保岡興治（元衆議院議員）、村田享子（参議院議員）、湯元敏浩（姶良市長）、尾堂真一（日本特殊陶業会長兼社長）、辛島美登里（シンガーソングライター）、宮下純一（元競泳選手、タレント）、キューティー上木（お笑い芸人）などがいます。

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