黄金の犬

『黄金の犬』について

『黄金の犬』は、西村寿行による1977年から1978年にかけて発表された小説です。この物語は、飼い主である森林警備官と愛犬の猟犬ゴロとの絆を軸に展開します。ゴロが偶然の事故で飼い主とはぐれ、故郷を求めて1400キロの旅をする様子を描いています。作品は、動物の持つ帰巣[[本能]]というテーマが色濃く反映されており、観る者に深い感動を与える内容となっています。

出版経緯

この小説は、まず週刊誌『アサヒ芸能』に連載され、第1部と第2部に分かれています。その後、第1部は1978年に、第2部は1979年に徳間書店から単行本として出版され、以降も様々な形で再刊されています。また、1970年代後期にはやまおか玲次によるコミカライズ版も発表され、この作品の人気をさらに広めました。

ストーリーの概要

第1部

物語は、北海道の森林警備官である北守数重が愛犬ゴロと共に熊狩りへ出かけるところから始まります。しかし、熊との闘いで負傷し、ゴロと離れ離れになってしまいます。ゴロは、自らの本能に導かれ、故郷の東京を目指して南へ向かいます。その途中、汚職事件や殺人事件に巻き込まれ、犯人に追われることになります。また、妻である北守礼子と警察官の安高則行もゴロを助けるために奔走します。映画版では、汚職事件の秘密に関連するマイクロ・フィルムがストーリーの重要な要素として組み込まれています。

第2部

第2部では、殺人事件と汚職事件は未解決のまま、安高が鹿児島県警に異動することになります。数重とゴロも礼子を探して鹿児島に向かうが、数重はそこで不幸な事件に巻き込まれ命を落としてしまいます。愛犬であるゴロは飼い主を失いながらも再び故郷を目指して北上し、旅の中で出会う人々の生活にも影響を与えていきます。その様子は、彼自身の野生を取り戻していく過程とともに描かれています。

映像化された作品

本作は、その人気から数回にわたり映像化されています。最初の映画は1979年に公開され、鶴田浩二が主演しました。1980年には日本テレビでテレビドラマが放送され、高い視聴率を記録しました。また、1991年や2001年にもそれぞれ新たなキャストでリメイクされ、多くの視聴者に愛され続けています。特に映画版は、大作として制作され、注目を集めました。

文化的影響

この作品は、日本国内外に影響を与え、特にチェコ共和国では1980年代に放送され、多くの人々に親しまれました。「東京の前のゴロのように混乱している」というフレーズは、今日でもよく知られています。

『黄金の犬』は、一匹の犬による感動的な旅路を通じて、動物と人間の絆や、家族愛、人間ドラマを鮮やかに描き出しています。この作品は、ただの冒険物語にとどまらず、深いメッセージを持った内容となっており、多くの人々に親しまれる理由がここにあります。

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