鼻出しマスク

鼻出しマスクとは

鼻出しマスク（はなだしマスク）とは、鼻を露出させた状態で口元だけをマスクで覆うという、不適切なマスクの着用法を指す俗称です。この用語は医療分野においても使用例があったものの、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の流行に伴い、報道などで多く取り上げられるようになりました。また、同様の意味で鼻マスク（はなマスク）という言い方もありますが、これは本来鼻に取り付ける形の異なる製品とは異なります。

鼻出しマスクのリスク

厚生労働省は、マスクの正しい使用法として鼻と口の両方を覆うことを強調しています。聖路加国際大学の准教授である大西一成氏は、呼吸やくしゃみをした際には鼻からも飛沫が放出されるため、鼻を出していると感染の可能性が高まると警告しています。特に、感染者が鼻を出した状態でマスクをつけていると、その周囲にいる人々にウイルスを拡散させるリスクが生じます。この点については、国外でも同じような懸念が指摘されています。

実際の問題事例

鼻出しマスクが引き起こした問題は数多くあります。例えば、2021年1月の大学入学共通テストでは、受験生が鼻を出した状態で試験を受けたことが問題視され、監督者から注意を受けたにもかかわらず従わなかったため、最終的に失格となりました。彼は後に教室に居残って他の受験生を混乱させ、さらにはトイレにこもって建物から出なかったため、逮捕される事態にも発展しました。

また、政治家においても鼻出しマスクが問題視される場面が見受けられました。2021年2月には自由民主党幹事長である二階俊博が記者会見中に鼻出しマスクをしていたところ、立憲民主党の蓮舫や国文学者のロバート・キャンベルから厳しい指摘を受けました。さらに、同年9月には臼杵市の市議会議員が鼻出しマスクでの発言を認められず、議長や市に対して訴訟を起こすという事例もありましたが、選挙で落選したため訴えを取り下げました。

2022年10月には、維新の猪瀬直樹参議院議員が国会で「日本人のマスクは令和のちょんまげ、顔パンツ」と発言し、マスクを外した後に鼻出しマスクで質疑を行いました。2023年2月には、棋士の日浦市郎が鼻出しマスクのために3回連続反則負けという厳しい処分を受け、日本将棋連盟からは対局停止3カ月の懲戒を受けています。

法令に基づく規制

国によっては、鼻出しマスクのような不適切な着用法が法律で禁止されています。例えば、カナダのアルバータ州では2020年からマスクの着用が法律で義務化されており、罰金も科される可能性があります。州法では口、鼻、顎をすべて隠すことが求められています。

このように鼻出しマスクは、感染症対策に反するだけでなく、コンプライアンスや社会的な問題も引き起こしています。そのため、マスクの着用は正しく行うことが大切であると言えるでしょう。

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