龍井茶

龍井茶（ロンジンちゃ/りゅうせいちゃ・りゅういちゃ）とは

龍井茶は、中国浙江省杭州市西湖周辺で生産される緑茶です。その品質の高さから中国国内だけでなく、世界中で愛されています。龍井茶は、その色、形、味、香りの四つの要素が優れていることから「四絶」と称えられています。

製法

龍井茶の製造は、大きく分けて三つの工程からなります。

1. 茶葉の採取と選別: 新芽を丁寧に摘み取り、半日ほど天日にさらして青臭さを取り除きます。この際、茶葉の選別も行われます。
2. 殺青: 専用の釜で茶葉を煎り、酵素による発酵を止めます。これにより、龍井茶特有の風味が保たれます。
3. 揉捻: 茶葉を揉み込み、扁平な形状に整えます。この工程は「抖、帯、擠、甩、挺、拓、扣、抓、壓、磨」という十種類の手法を用いて行われ、龍井茶独特の形状を生み出します。

これらの工程を経て、茶葉の水分を抜き乾燥させると龍井茶として完成します。

茶葉の等級と採取時期

龍井茶の品質は、茶葉の採取時期と部位によって大きく異なります。特に重要なのは以下の三つの時期です。

明前茶: 清明節（4月5日頃）前に摘まれた茶葉で作られた最高級品。希少価値が高く、高値で取引されます。
雨前茶（二春茶）: 清明節後、穀雨前に摘まれた茶葉で作られたもの。明前茶に次ぐ品質とされます。
三春茶: それ以降に摘まれた茶葉で作られたもの。一般的に品質は劣るとされます。

また、摘み取る部位によっても等級が分かれ、新芽は特級、その下の部分は2級とされます。それより下の青々とした部分は、ペットボトル飲料やティーバッグ用として加工されることが多いです。

龍井茶の賞味

龍井茶は、その製法から日本の緑茶に比べて色が鮮やかではありません。しかし、揉捻によって作られた扁平な形状が特徴的です。お湯を注ぐと茶葉が開き、一芽一葉の美しい姿を見せてくれます。産毛が多く、芽と葉の大きさがほぼ同じものが高級品とされます。

茶の色は黄色がかった茶色で、高級品ほど飲んだ後に甘味が残ります。

龍井茶の美味しい淹れ方

1. コップや茶器に茶葉を適量入れます。
2. 81〜90度程度の熱湯を注ぎます。
3. 茶を3割ほど残して飲み、お湯を継ぎ足して数回楽しみます。

龍井茶は、茶葉をそのまま食べても栄養豊富で、健康に良いとされています。ただし、カフェインも含まれているため、就寝前の飲用は避けた方が良いでしょう。

また、中国では、西湖と銭塘江の中間に位置する虎跑泉の水で淹れるのが最も美味しいとされています。これは、虎跑泉の水質が良いことに加え、その土地の水で育った茶葉が最も相性が良いという考えに基づいています。

産地

龍井茶は、その名の通り、西湖の西に位置する龍井村が発祥の地です。現在では、獅峰、虎跑、雲栖、梅家塢の四地域が主な産地として知られています。これらの地域以外で作られたものは「西湖龍井茶」として区別され、浙江省外では「西湖龍井茶」の名前で広く流通しています。

近年では、杭州以外の地域でも龍井茶が生産されており、例えば紹興新昌産の「大仏龍井茶」や温州永嘉烏牛産の「烏牛早龍井茶」などが販売されています。

関連項目

龍井蝦仁: 川エビと龍井茶の若葉を炒めた料理。龍井茶の風味を生かした杭州の郷土料理です。

もう一度検索