龍谷大前深草駅

龍谷大前深草駅：歴史と進化を遂げた京阪本線の駅

龍谷大前深草駅は、京都府京都市伏見区に位置する京阪電気鉄道京阪本線に属する駅です（駅番号：KH33）。かつては「深草駅」として知られていましたが、龍谷大学深草学舎の最寄り駅であることから、2019年10月1日に現在の駅名へと改称されました。この改名は、近隣の大学名を冠した駅名変更が他社でも行われた時期と重なります。

歴史を刻む駅舎：深草車庫から現代へ

龍谷大前深草駅は、開業当初から車庫が併設された重要な拠点駅でした。1917年には隣接する深草車庫で大きな火災が発生したという歴史も持ちます。戦争中は急行停車駅となり、戦後は列車無線基地局の設置、東福寺変電所の改修工事への対応など、時代の変化とともに機能を拡張してきました。1960年代後半には橋上駅舎への建て替え工事が行われ、留置線のスペースを活用してホームと待避線の延長も実現しました。深草車庫が1980年に廃止された後も、駅東側には留置線が2本残っていましたが、後に1本が撤去されホームの拡張に繋がりました。

2010年代に入ると、老朽化した橋上駅舎の建て替えとバリアフリー化が本格的に進められました。2014年度に着工し、約3年の歳月をかけて、エレベーター4基を含む新たな橋上駅舎が完成。ホーム幅も2メートル拡張され、快適な駅へと生まれ変わりました。この工事は、国土交通省の鉄道駅総合改善事業の補助を受け、京阪グループの第三セクターである中之島高速鉄道が主体となって行われました。

駅舎建て替え：バリアフリー化への取り組み

旧駅舎はバリアフリー設備が不足しており、西口と改札階を結ぶスロープしかなかっただけでなく、ホームの狭さから8両編成の列車が停車できる待避線があっても、ホーム有効長は7両分しか確保できませんでした。これは、ホームの幅が狭いために階段の出町柳寄りへの設置を余儀なくされ、1両分のスペースが犠牲になっていたこと、そしてホーム南側が道路の古い跨線橋に覆われていたことが原因でした。新たな駅舎建設によって、これらの課題が解決され、エレベーターの設置、ホーム幅の拡張など、利用者の利便性向上に大きく貢献しました。

年表：変遷をたどる歴史

• - 1910年（明治43年）4月15日：京阪本線開業と同時に稲荷駅として設置
• - 1910年（明治43年）12月16日：深草駅に改称
• - 1935年（昭和10年）6月29日：鴨川水害により当駅～三条駅間が不通となる
• - 1943年（昭和18年）10月1日：京阪神急行電鉄（阪急電鉄）の駅となる
• - 1944年（昭和19年）7月16日：急行停車駅となる
• - 1946年（昭和21年）2月15日：急行運転再開、急行は通過駅となる
• - 1949年（昭和24年）12月1日：京阪電気鉄道の駅となる
• - 1963年（昭和38年）11月16日：駅の移設工事に伴い車庫線の一部廃止
• - 1964年（昭和39年）3月15日：駅を現在の位置に移設、5月15日新駅舎使用開始
• - 1971年（昭和46年）8月15日：橋上駅舎化
• - 1980年（昭和55年）3月17日：深草車庫廃止
• - 1987年（昭和62年）12月25日：ホーム・階段幅拡張、留置線1本撤去
• - 1988年（昭和63年）8月28日：自動改札機設置
• - 2011年（平成23年）12月17日：ホームに異常通報装置設置
• - 2016年（平成28年）3月31日：新橋上駅舎使用開始
• - 2019年（令和元年）10月1日：駅名を龍谷大前深草駅に変更

駅構造と周辺環境

龍谷大前深草駅は、島式2面4線のホームを持つ橋上駅です。内側2線が主本線、外側2線が待避線となっています。改札口は1ヶ所のみで、東西に出入口があります。駅舎の建て替えにより、車椅子対応エレベーター4基、オストメイト対応多目的トイレが設置され、照明もLED化されるなど、バリアフリー化が大きく進みました。駅周辺には飲食店、石峰寺、宝塔寺などの観光スポット、龍谷大学、京都府警察学校などの教育機関が立地しています。バス路線は乗り入れていませんが、近隣にはバス停があります。

発車メロディーと特徴

待避設備があるため、発車メロディーが導入されています。また、かつて車庫が併設されていた名残から、列車の行き先表示幕には「深草」幕が残っていることも特徴です。

利用状況

近年は龍谷大学に通う学生の利用が中心となっており、利用者数は変動しています。特に2020年度は新型コロナウイルスの影響で、乗降客数が大きく減少しました。

隣の駅

藤森駅 - 龍谷大前深草駅 - 伏見[[稲荷駅]]

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