'80年未来をこの手に!

特別番組『80年未来をこの手に!』について

1980年1月1日1:00から2:25まで放送された特別番組『80年未来をこの手に!』は、視聴者に未来の科学技術と人間の幸福を考えさせる内容で構成されていました。この番組は、ライオン株式会社の単独協賛によるもので、TBSがメインの制作局となり、日本のほとんどの民放局が共同制作に関わりました。

番組の目的と内容

『80年未来をこの手に!』は、「科学と人間の理想的な結びつき」をテーマに掲げ、人類の幸福と世界の平和を考察することを目的とした特別番組でした。番組内では、スペースシャトル、HSST（高速鉄道）、各種ロボットなどといった先端技術の紹介と実演が行われ、ジョンソン宇宙センターからの生中継も行われました。また、ザ・ドリフターズによるコントも放送され、視聴者に笑いを提供しつつも、未来に対する期待感を喚起しました。

びわ湖放送のネット拒否

しかしながら、番組には波紋もありました。滋賀県のびわ湖放送は、当時のリン酸塩含有の合成洗剤が琵琶湖の水質汚染を引き起こすとの問題を受け、県民感情を考慮してネット受けを中止しました。この決定は、1979年12月31日に行われた「ゆく年くる年」の特別番組からの流れを汲むものであり、びわ湖放送は最初はネット受けをする方針でしたが、急遽方針転換を余儀なくされました。これにより、全国の92局が参加する中、びわ湖放送のみが放送をしないという「たった一局の反乱」として報じられました。

番組の冒頭では、司会の西田敏行が「全国の皆さんあけましておめでとうございます。全民放92局を結んでお送りします」と述べましたが、実際には全国に93局存在していたため、この挨拶は少々の誇張を含んでいました。びわ湖放送では、番組の後に短いミニ番組を放送した後、1時4分には放送を終了しました。

なお、滋賀県は関西広域圏内に位置しているため、周辺の府県にある他の放送局から本番組を視聴することは可能でした。さらに、ライオン株式会社はこの騒動から4か月後に、主力製品である洗剤「トップ」の無リンバージョンを発売しました。

芸能人の出演

番組には、多くの著名な出演者が関与し、視聴者に魅力的なコンテンツを提供しました。特に、ザ・ドリフターズのコントは、当時の人気を集め、多くの人々に楽しいひとときを提供しました。

その後の影響

本放送から44年後の2024年4月13日には、TBS系列で放送された特別番組『この歌詞が刺さった!グッとフレーズ 春…出会いと別れに刺さる歌詞SP』で、当時の放送の一部が再放送されることとなり、視聴者にとっても懐かしい瞬間を提供しました。

このように、『80年未来をこの手に!』は、当時の日本におけるテレビ放送の一つの特異な瞬間を象徴する番組として、多くの人々の記憶に残る存在となっています。

もう一度検索