ØSTORY

ØSTORY：実写と霊体、限られた時間の中で紡がれる愛の物語

2000年4月27日、エニックス（現スクウェア・エニックス）よりPlayStation 2向けに発売された『ØSTORY（ラブストーリー）』は、同社初のPS2ゲームソフトとして注目を集めました。同社の『ユーラシアエクスプレス殺人事件』に続く「シネマアクティブ」シリーズの第2弾であり、全編実写映像による演出が特徴的な作品です。

ストーリー：交通事故から始まる、6日間の愛の試練

物語は、主人公である青年がバイク事故で命を落としたことから始まります。天界で天使と出会った主人公は、真実の愛を見つければ奇跡が起こると告げられ、霊となって地上へ舞い戻ります。与えられた時間はわずか6日間。その間に、偶然出会った少女・リナとの間で愛を育み、奇跡を起こすことができるのか、という点が物語の中心となっています。

ゲームシステム：霊体ならではのコミュニケーションと愛情値

『ØSTORY』のゲームシステムは、霊体となった主人公がリナとの愛を育むことに焦点を当てています。主人公は言葉を話すことができないため、文字を書いたり、物を動かしたりといった間接的な手段でしかリナとコミュニケーションを取ることができません。

リナが主人公に抱く愛情の度合いは「愛情値」として数値化されており、6日間の物語の終わりに、この愛情値が一定のレベルに達しているかどうかがエンディングに影響します。愛情値は、以下の要素によって増減します。

会話選択: リナとの会話において、適切な選択肢を選ぶことで愛情値を上昇させることができます。しかし、選択には時間制限があり、時間内に選択しないと無言とみなされ、愛情値が減少。無言を繰り返すとゲームオーバーとなります。
行動選択: 物を動かしたり、リナを助けたりといった行動を通して、リナの好意を得ることができれば愛情値が増加しますが、逆に不快に思われると減少します。
アクションタイミング: リナがピンチに陥った際に、タイミングよく操作することで危機を回避できます。失敗しても再挑戦できる場合もありますが、失敗を重ねると愛情値が減少し、状況によってはゲームオーバーとなる可能性があります。
心の矢: 天使から与えられたアイテム「心の矢」を使用することで、リナの心を覗き見ることができます。しかし、矢の本数は限られており、リナが知られたくない心の内を知ってしまうと、愛情値は逆に減ってしまうため、注意が必要です。
他人への憑依: 特定の人物に心が許された場合、主人公は霊としてその人物に憑依することができます。しかし、憑依を試みると、相手は抵抗を示す可能性があり、抵抗に遭うと愛情値が減少します。愛情値がゼロになるとゲームオーバーです。
ミニゲーム: リナとミニゲームを楽しむことで、ゲームの結果に応じて愛情値が増減します。

登場人物：個性豊かなキャラクターたちが物語を彩る

『ØSTORY』には、主人公である霊体（YOU）と、ヒロインのリナをはじめ、個性豊かな登場人物が多数登場します。リナのマネージャーや友人、そして謎めいた占い師や伝説的なシンガーソングライターなど、それぞれのキャラクターが物語に深みを与えています。これらの登場人物との交流も、ゲームの重要な要素となっています。特に、リナを取り巻く人間関係や、彼女の心の葛藤は、物語全体に大きな影響を与えます。

シネマアクティブシリーズの進化

『ØSTORY』は、実写映像を用いた独特の表現方法で知られる「シネマアクティブ」シリーズの第2弾です。前作『ユーラシアエクスプレス殺人事件』で培われた技術をさらに進化させ、よりリアルで感情豊かな表現を実現しています。実写映像とゲームシステムの融合が、この作品ならではの独特な魅力となっています。

まとめ：記憶に残る、切ないラブストーリー

『ØSTORY』は、霊体となった主人公と少女との、6日間という限られた時間の中で展開される、切ないラブストーリーです。実写映像による美しい演出、そして独特のゲームシステムは、プレイヤーに強い印象を与え、長く記憶に残る作品となっています。限られた時間の中で、いかにしてリナとの愛を育み、奇跡を起こすことができるのか、プレイヤーの腕の見せ所です。

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